Fカップのボディを生かしてグラビアアイドルとして活躍する長澤茉里奈さん(25)が、日本プロ麻雀協会のプロテストに合格し、異色の雀士が誕生した。
麻雀を始めたきっかけは偶然だったが、その異色の経歴が活躍の幅を広げる原動力になったようだ。(聞き手・構成:J-CASTニュース編集部 野口博之)
成長できない自分が悔しくて、泣いてしまったときも
「まりちゅう」の愛称で呼ばれる長澤さんは、2013年の高校3年生のときに東京・原宿でスカウトされた。女性アイドルグループ「放課後プリンセス」に入門し、その後メンバーとして活躍した。16年末に卒業し、バラエティ番組などに出演しているほか、映画への出演経験もある。
18年からは、ABEMAテレビの番組「麻雀最強戦」などのアシスタントを務め、お茶の間に麻雀の魅力を伝えてきた。
そして、21年3月29日、麻雀のプロテストに合格したことをツイッターなどで報告し、異色のアイドルとして大きな話題になった。
J-CASTニュースでは4月2日、長澤さんにインタビューして、なぜ麻雀プロを目指したのか、今後はどんな活動がしたいのか、などを聞いた。
――アイドルとして麻雀プロに合格された方は、過去にちらほらおられるようですが、異色の経歴であることには変わりありません。なぜ目指そうと思われたのでしょうか?
長澤: 2017年公開の「咲-Saki-」という映画に出たのがきっかけです。映画のオーディションに行ったときは、麻雀のことなんか何も知らないので、「麻雀分かんないです」という形で受けました。そのときは初心者の役をいただいたので、何も勉強することはなかったんですけど、「咲」がきっかけで麻雀番組のオファーとかが増えたり、2018年に「麻雀最強戦」のアシスタントのお仕事が決まったりして、本格的に麻雀を始めようと思いましたね。
――とすると、麻雀を始めてわずか4年の短い期間でプロになったということなんですね?
長澤:でも、1、2年は、本当にかじっている程度というか、もうアプリで楽しむ程度といいますか。最強戦中も、まりちゅうに勝ったら『近代麻雀』の表紙を取れる、という私のコーナーを作ってもらったりしたんですけど、本当下手過ぎていつも見ている人たちを困らせちゃうぐらいな打ち筋でしたね。なので、麻雀最強戦のアシスタントが終わって、2020年ぐらいからちゃんと勉強し、プロ試験を受けようと決意しました。でも、「まだまだだな、こいつは」「本当に麻雀好きなのか」と言われることがすごく多く、成長できない自分がめちゃめちゃ悔しくて、泣いちゃったときもあります。そういう自分を見返してやる気持ちで、プロを頑張っていきたいと思いました。結果を残して、みんなに「まりちゅう頑張ったな」と成長を見せられるようにしていきたいです。
麻雀最強位のプロと番組内で対戦して、「ガチで勝った」と喜ぶ
――それまでは、麻雀について、お父さんや友達、事務所の先輩ともまったくやったことも見たこともなかったのですか?それで、面白さというものが分かるんですね。
長澤: 母が昔、私の祖父と家族麻雀というものをやっていたらしいんですけど、特に私は触れたことがありませんでした。おじいちゃん死んじゃって、その後に私も麻雀始めたので、見たこともないんですよ。もう残念ですよね、打ちたかったなあ。最強戦のアシスタントになって、トッププロの方たちの対局をすごく見るようになったんですよね。それで、逆転劇なんかも間近で見ることができて、プロってまじでカッコいいなあ、麻雀って面白いなあと思いました。素人とプロの差というものをひしひしと感じまして、絶対に乗り越えられない厚い壁があるんですよね。私も、そっちの世界に行きたいという気持ちがすごく強くなりました。
―― 将棋の藤井聡太さんみたいな、どなたか憧れるプロの方とかおられるんですか?
長澤: やっぱ、多井隆晴プロなんか見ちゃうと、あの人麻雀の面白さを全部自分で持っている気がしますよね。本人はゲーム配信ばっかやってて、「俺は麻雀なんか」みたいな感じなんですけど。めちゃめちゃ強くて、最強位取っちゃったりとか、本当にすごいなと思いますね。「まりちゅうの麻雀にはまりちゅう」という動画配信番組を多井さんが私のために作ってくれて、多井さんとは2019年に番組内で対局したことあります。そのとき勝ちましたよ!全然ガチですよ。女性が苦手ということで、あれ奇跡に近い出来事でしたね。
――専門学校生の妹さんが初グラビアで、長澤さんと一緒に撮ったりしておられましたが、妹さんとは麻雀をしたりするのですか?
長澤: 緑のマットや麻雀牌を買って、母と私と妹2人の4人で家で打つようになりましたね。ネット麻雀も、妹とはよくしますね。私が最強戦のアシスタントをしているときに、その企画で高校生麻雀大会があって、それに誰か出る子いないかと探していたんで、私の妹を投下してみました。母は、けっこういい感じでちゃんと麻雀をやっていました。私がプロになったことは自分のことのように喜んでくれましたね。「じいじに見せてあげたかったな」というのはすごい言ってました。
マック接客の埼玉大会で2連覇し、その体験を生かすように
―― ところで、長澤さんは、高校生のときにマクドナルドの店員で、マックの接客の埼玉大会で2連覇したそうですね。
長澤: 大会それぞれ部門があるんですけど、私の店舗は、ポテトとかバーガー作る部門とか、接客にもフロアサービスという部門があったりしました。私は、高2のときにドライブスルー部門、高3のときにフロアサービス部門で優勝しましたね。ドライブスルーってめっちゃ混むじゃないですか。お客さんに伝えてもらいながら、それをいかに早く流すかという、すごい絶妙な技術が難しいところではありましたね。何かを極めるのが好きだったので、一番興味があって意欲があるのが接客だったんですよ。毎日のようにマックで働いていて、週6とかで朝から夜までいたいというほど働くことが好きでした。人前に立つのが好きだったり、話すのが好きだったり、人と違うことをしたいという気持ちが昔から強くて、大会でも目立ちたいと思って勝ったところもあります。原宿でスカウトされたのも、原宿で一番かわいくて目立ちたいという気持ちが強くて、それが多分スカウトしている人たちに伝わったんだと思います。スカウトの前から芸能界に興味はあったんですけど、どうやってその世界に入ったらいいかが分からなかったので、とりあえず原宿に出てみようという感じでした。
―― それが今、アイドルや麻雀などに何か役立っているというところはありますか?
長澤: マックのときに接客が楽しいってことを知ったので、アイドル活動をするうえでファンの人とすごい会う機会が多いんですけど、全然疲れないんですね。人と話すのがまったく苦じゃないというか、むしろ人と話すのが好きだから、そういうのはすごく生きたなと思います。あと、目上の人に対して、ハキハキと元気よく接するということがマックで身に着きました。私は、ダイレクトなクレームはありませんでしたが、毎日のように通ってくれる男性のお客さんがいて、花束とかもらってうれしかったですね。ドライブスルーやっていても、マイク越しに「あとスマイル下さい」とかはよく頼まれましたね。マックだと、メニューに書いてありますが、0円でスマイルというのを売っているんですよ。
秋葉原や渋谷で、アイドルを店員にした雀荘を経営したい
――そんな接客での鍛錬があって、麻雀でも、目上の先輩からアシスタントに選ばれたり、指すときに相手の心を読めるようになったりしたのかもしれませんね。ところで、麻雀プロになった動機としては、アイドル卒業後のことも考えておられるのでしょうか?
長澤: アイドルを辞めることは考えてなくて、グラビアと麻雀プロでずっと両立して、二足のわらじでやっていきたいと思っています。麻雀プロの女流の方たちって、本当にみな年を重ねれば重ねるほどきれいになるといいますか、今中心で活躍しているプロの方たちは、30代、40代の方が女性も多いんですね。かわいくて、麻雀強くて、すごく凛としてて、めちゃめちゃ美しいんですよ。そういう人たちを目指して、私も、まだまだ頑張っていきたいなって思います。
―― 今後の目標や抱負について、お聞かせして下さい。
長澤: やっぱり、最強戦に出て成績を収めたいですね。「まりちゅうがここまで成長したんだ」というところをみんなに見せたいなって思いますね。後は、まだ細かくは全然決まっていないんですけど、近い将来に秋葉原や渋谷で、アイドルをコンセプトにした雀荘を経営したいという夢がありまして、プロになることで一歩夢が現実に近づいたと思います。元乃木坂46の人などアイドルで麻雀好きな子はけっこう多いですので、かわいいアイドルを店員さんに雇って、アイドルやグラビアのファンとか麻雀を知らない層にも広めたいです。メイド喫茶に近いものがあってもいいのかなと思っています。
長澤茉里奈さん プロフィール
ながさわ・まりな
グラビアアイドル、プロ雀士。1995年、埼玉県熊谷市生まれ。高校3年のときに「放課後プリンセス」に入門し、その後メンバーとして活動。「ミスiD 2016」(講談社主催)では、一般投票1位に。放課後プリンセスを2016年に卒業後も、バラエティ番組などに出演したり、テレビ・ネットの麻雀番組に出演したりしている。いつか映画「スター・ウォーズ」に出演するのも夢とか。好物はビール、ラーメン。TRUSTAR所属。