2021年4月7日、小林誠司の登録抹消が公示で発表されると、セリーグの各球団は「ケガしたのか?」と情報収集に急いだという。それだけ、インパクトのあるファーム降格だったわけだ。
「巨人は開幕から捕手は小林、大城卓三、炭谷銀仁朗の3人制で戦ってきた。小林は登録抹消前に6試合に途中出場し、相手の嫌がるリードで存在感を発揮していたので、2軍に落とすとしたらあの時点で1試合の出場のみだった炭谷かなと。
貧打で得点力不足が深刻な中、打撃の良い岸田行倫の昇格は予想できるが、まさか2軍降格が小林だとは思わなかった。しかも確認すると故障もしていない。セリーグの他球団は『なぜ2軍に落としたんだろう』と真意を測りかねたでしょう」(スポーツ紙デスク)
小林が捕手なら「投手は伸び伸び投げられる」
小林は球界屈指の強肩を武器に16年から4年連続盗塁阻止率リーグトップをマークするなど正捕手として活躍してきたが、原監督が3度目の監督に就任した19年以降は存在感が徐々に薄れている。
昨年は度重なる故障で10試合の出場に終わり、正捕手は大城に取って代わられた。期する思いで臨んだ今季だったが、開幕10試合を終えたばかりでファーム降格。メディアには「トレード要員」と取り沙汰されるなど、チーム内での立場は危うくなっている。
他球団のスコアラーは「大城より小林の方が嫌ですね」と言い切る。
「打撃は大城の方が小林よりいい。でも阿部慎之助や城島健司ほどではない。打率.280、15本塁打ぐらいでしょう。それなら打率230でも小林の方が嫌ですね。一塁に走者を背負っても『小林が盗塁を刺してくれる』という安心感があるから、投手は伸び伸び投げられる。山口俊(現ジャイアンツ)はその典型でしたね。リード面でも投手の良さを引き出すのがうまい。配球も読みにくいし、神経を使います。今年は途中出場でも貢献度が高かった」
大城のリードには評論家も苦言
だが、大城の正捕手の座が揺るがないとも言い切れない。
開幕から全試合スタメン出場しているが、7日の阪神戦(甲子園)では試合途中に捕手から一塁へ守備位置を変更。岸田がマスクをかぶった。翌日の試合では炭谷がスタメン出場し、3投手をリードし完封リレーに導いた。
大城は今年のオープン戦でリード面を巡り、原監督からベンチで公開説教を受けている。シーズンに入ってからも配球を巡り、複数の野球評論家から苦言を呈されている。チームを勝たせられなければ、大城の評価も変わってくるだろう。
シーズンは長い。小林は正捕手争いで「不遇の扱い」をひっくり返せるか。