「絶望に向かうか、希望の方に向かうか」
今回の改正案をめぐっては、日本の難民認定率が国際的にも低い中で、「難民認定手続き中は送還しない」という規定に例外が設けられること、退去命令違反者が刑事罰の対象となること、監理制度の適用基準のあいまいさなどに対して、厳しい指摘が見られている。
日本弁護士連合会の荒中会長は2月26日に法案に反対する声明を発表した。NPO法人「POSSE」は、ネット上で廃案を求める署名を実施。4月10日までに、3万筆を超える署名が集まっている。
「アメリカ、ドイツ、イギリス、ニュージーランド...(それらの国は)私たち(クルド人)を難民として認めますが、日本では認められません」(クルド人のデニズさん)
「(国に)帰れっていうのは、死ねっていう意味」(ミャンマー出身のラパイさん)
4月7日に厚労省で行われた会見。悲痛な思いで訴えたのは、現在「難民認定」を申請している当事者たちだ。彼らの中には、収容施設で職員から暴行を受けた過去を持つ人や、母国に送還された場合に迫害を受ける恐れがある人もいる。
彼らとともに改正反対を訴える「有志の会」のメンバーには、外国人の権利に詳しい弁護士やエッセイスト・小島慶子さんなどが参加。その中に「せやろがいおじさん」の姿もあった。この日の会見には、いつもの「赤Tシャツ」姿ではなく、ジャケットと「OKINAWA」のロゴ入りマスクを身に着けて登壇したせやろがいおじさん。有志の会では、問題を広く発信する「呼びかけ人」という位置づけだ。
会見前日には茨城県牛久市にある入管施設を訪れ、収容者に話を聞いたというせやろがいおじさん。母国で銃撃を受けても、仲間がひどい虐殺を受けても、難民としては認められない。収容者の一人とアクリル板越しに「拳」を突き合わせ、こんなことを思ったという。
「絶望に向かうか、希望の方に向かうか。我々の言葉の発信次第で変わっていくぞという大きなものを託された気がしました」