2021年2月に政府が国会に提出した「出入国管理及び難民認定法」(入管法)の改正案を問題視する声が強まっている。国外退去を拒む外国人を刑事罰の対象とすることなどについて「改悪」だとの指摘が出ている。
4月7日には改正案の反対を訴える団体が厚労省で記者会見を開いたが、その中の一人に、沖縄を拠点に活動するお笑い芸人「せやろがいおじさん」がいた。芸人の立場でありながら、なぜ入管法問題を訴えるのか。話を聞いてみた。
「ソシャゲのガチャより確率低いやないかい」
「雨宿りしに来た人にこの軒先から出ていくか、俺から水ぶっかけられるか選べっていうてるやつおったらもう鬼やん?そんなやつ絶対退治せなあかんやん。ちょっとスタッフ~鬼殺しと大豆と日輪刀持ってきて~」
「(日本で)難民として認定されたのはたったの44人。難民認定率は0.4%。ソシャゲのガチャより確率低いやないかい」
赤いTシャツとふんどし姿の男性は、21年3月、YouTubeとツイッターに投稿した動画の中で、入管法改正案の問題点を身近な出来事に例えて訴えた。男性の名は「せやろがいおじさん」。沖縄を拠点に活動するお笑い芸人・榎森耕助さんが演じるキャラクターだ。17年からYouTubeなどに動画を投稿。沖縄の海をバックに、社会問題について早口で「意見提起」するスタイルが人気を集めてきた。
今回、動画のテーマとなった入管法の改正案には、強制退去処分を受けた外国人の長期収容を改善する目的で、入管収容施設の代わりに親族や支援団体など「監理人」のもとで生活できる「監理措置制度」が盛り込まれた。一方で、国外退去命令の違反者には、1年以下の懲役か20万円以下の罰金、またはその両方を科すという罰則も。また、難民認定を申請している間は一律に送還されなくなるという規定について、3回目以降の申請者は規定の対象から外れる「例外」が設けられる。
2019年の日本では1万375人の難民申請があったが、このうち難民として認定を受けたのは44人で、割合にすると0.4%。カナダは55.7%、イギリスは46.2%、アメリカは29.6%だといい、こうした他国と比べても低い数値だ。