コロナ禍で日本に来られない外国の人たち向けに、旅行会社大手のJTBが日本への旅行をバーチャルで体験できる仮想空間を始めると発表し、ネット上で話題になっている。
ユーチューブ上で、紹介動画がアップされたが、その内容にネット上でツッコミが相次いでいる。
アバターを操作して、観光や買い物をしながら地元の人たちと交流
「観光地へ移動しますか?」。東京スカイツリーの前に女性のアバターが立つと、こんな表示が画面に出る。「はい」をクリックすると、女性の前にJR東京駅の赤レンガ駅舎が現れ、女性は、「バーチャルショップ」と英語で表示された店に向かう。
そこで、女性は、買いたいと思ったリアルの特産品をカートに入れ...。
JTBの公式チャンネルに2021年4月7日に上げられた紹介動画は、こんなシーンから始まる。
今回の仮想空間は、「バーチャル・ジャパン・プラットフォーム」事業として、JTBから同日に公式サイトで発表された。
それによると、ネット上の仮想空間にバーチャル日本を作り、アバターを操作して、観光や買い物をしながら地元の人たちと交流するという試みだ。JTBのグループ会社が運営する日本紹介メディア「FUN! JAPAN」の世界各国の会員のうち、アジアの人たち125万人を対象に、4月末からユーザー登録してもらう。その後、日本を含めた世界の人たちにも利用者を拡大し、24年までに1000万人の交流人口創出を目指すという。事業には、クラウドサービスを提供しているIT企業「FIXER」も加わっている。
現在は、東京の丸の内エリアと北海道について空間を構築しており、動画では、女性が北海道でナビゲーターの牛に案内されながら、海の幸のカニを見つけたり、山間のお花畑を歩いたりする様子が出てくる。
「グラフィックよりも、体験やコミュニケーションに重きを置いている」
ユーチューブにアップされた仮想空間の動画は、ネット上で話題になり、様々な意見が寄せられている。
「完成しただけで凄い」「めちゃくちゃ頑張った感ある」などと事業を評価する声もあったが、現状では、厳しいツッコミの方が多い印象だ。CGのクオリティが低いように感じるとして、「プレイステーション1を思い出させる」「数十年昔にトリップすることができるプラットフォームだ」「どこ層向けなん......」といった感想が相次いでいる。
こうした指摘に対し、JTBの担当者は4月9日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように説明した。
「オンラインゲームのようにグラフィックを極めるのが目的ではなく、コロナ禍で移動が制限される中で、観光地での交流を実感できて、いかにリアルにもつなげるかを考えています。グラフィックよりも、体験やコミュニケーションに重きを置いているということです。ハードやソフトで特別なものがなくても、パソコンなどを通じて手軽にバーチャルを楽しめるようにしたいと思っています。もちろん、現状ではベストではないです。全国各地から問い合わせを受けており、地元からの要望を受けて一緒に空間を作り、ブラッシュアップと品質向上を目指したいですね」
動画は、あくまでもイメージとしての資料映像で、4月末に登録を始めた後は、アジア地域の会員からも意見を聞きながら徐々に、東京や北海道を含めた空間設計・構築をするともした。
7月以降には、日本の人たちも対象にし、ユーザー登録して仮想空間を見られるようにしたいとしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)