なぜ「まん防」の略称は緊張感に欠けるのか? 心理学博士が分析する「軽さ」の正体

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略称が同音異義語を連想させるのは、それだけでマイナス

   国民的論争ともいえる「まん防」だが、なぜ「軽い」と感じてしまうのか。心理学博士の鈴木丈織氏は取材に対し、まず「まん防」をはじめとする「略称」というフォーマットそのものの宿命を指摘しつつ、それでも、その使用は避けられないと指摘した。

「名前とは、本来、『その名前を認識することでそのものの機能や役割が分かり、かつ、ほかのものと重複しない』ようにするためにつけられるものです。しかし、略称というのは、せっかくその機能や役割を表わす表示を改変し、かつ、音の個数を減らすわけですから、『ものの機能や役割が分かりづらくなり、かつ、他のものと重複しやすくなる』ものです」
「このことから、『まん延防止等重点措置』を『まん防』と略してしまうと、『まん延を防止するための重点的な措置』という意味は、やはり弱まってしまいます。ですので、本来ならば略称などというものは使うべきではないのですが、やはり、長い名前が略されるというのは避けられないことです」

   続いて鈴木氏は、略称を使う際の注意点を指摘しつつ、「まん延防止等重点措置」に関しては略すべきではないと指摘した。

「略称が同音異義語を連想させるというのは、その同音異義語の意味がどうしても頭に浮かんでしまうので、意味がそちらに引っ張られて非常に良くない略称となります。今回の『まん防』はそのアクセントも手伝って即座に魚の『マンボウ』を連想させ、しかも、その『マンボウ』が牧歌的な印象がある魚なので、警戒を呼び掛けなければならない状況で使う言葉としては略称としての悪条件がこれでもかと揃っており、不適切と言えるでしょう。かといって、『重点措置』では何のための重点措置か分からなくなるので、最低でも『まん延防止措置』、そして、やはりそれよりは、『まん延防止等重点措置』と略さずに使うべきです」

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)

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