「SNSで色々書き込んでくる方々は、社会の動きというものを知らない」
――今後、来宮駅を利用するときは、熱海駅からタクシーではなく、同じようにお願いするのでしょうか?
伊是名: それは分からないです。今は、決めることができません。今回、私は、最後に車イスを持ってもらえたのでよかったんですけど、あくまで今回だけです、という対応をされたので、私だけが例外であってはいけないと思います。本当に次も、車イスのユーザーの人がいたら、ちゃんと乗れるタクシーの情報を提供したり、時間がかかっても駅員さんが来てくれるような体制を整えてほしいと思っています。だから今、交渉をこうしてやっており、別に私だけでいいとは全然思っていません。例えば、今から50年前だと、バスにも電車にも何にも車イスの人が乗れない時代があって、こういうことが繰り返されてやっと乗れるようになってきました。それが後退していく感じがします。今回は、ご案内できませんと言われ、そのときに戻ったなという印象を持ったんですね。今後の合理的配慮の1つとして、JRさんがタクシー会社と共同でそういうときはこうするとか、何か作って下さればいいと思います。駅は、いろんな人に開かれたところだと思うので、いろんな人が使いやすくしてほしいですね。
――伊是名さんは、社民党の全国連合常任幹事をされていますが、政治活動の一環ということはあるんでしょうか?それとも、今回は、目立つようにして、ゲリラ的に問題提起しようとした市民運動の一環なのですか?
伊是名: 全然違います。私は、いつも電車に乗るときに、こうやって交渉しています。社民党の幹事になったのは、まだ2か月前のことですし、毎回お願いをしてやっています。私は、普段からコラムにこういうこともいっぱい書いていますし、今度もコラムに書こうと思っています。別に、今回だけが特別と思っているわけでは全然ないです。ただ、今回すぐにメディアに連絡したのは、小田原と熱海が一切無理です、一切考えませんと本当に乗車拒否が強かったからです。熱海という観光地であるはずのところで、車イスの人が想定されていないというのを感じたので、私1人だけの声を上げるのではなく、いろんな人が使うという可能性を考えて、敢えてメディアの方に今回は連絡しました。合理的配慮をどう進めていくかというのが社会で話題になっていて、努力義務も義務に変わろうとしていたりとか、バリアフリー法もどんどん改善されて、エレベーターなどの設置が適用されないのも駅の利用者数3000人以下から次は2000人以下に変わったりとか、どんどん法律の面では動いていっています。しかし、意識としては変わっておらず、車イスユーザーなどの優先順位が低かったり、今回の騒ぎを見ていると、SNSで色々書き込んでくる方々は、社会の動きというものを知らない人も多いと思います。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)