埼玉県川越市の仏教寺院・最明寺に掲示された標語がユニークだと、SNS上で注目を集めている。
「なんだか楽になったわ。誰かと話すって心地いいのね。知らなかった」
なんと「エヴァンゲリオン」シリーズに登場するキャラクター「式波・アスカ・ラングレー」のセリフが寺の掲示板に張り出されているのである。J-CASTニュースは、このセリフを掲示した最明寺副住職の千田明寛さんに、掲載理由などを取材した。
「まだまだ続くコロナ禍で、一人で苦しみを抱え込まないで」
最明寺副住職の千田さんは2021年4月3日、寺に張り出した標語を写真付きでツイッター上で紹介した。掲示したセリフは、孤独だったアスカが人との交流の中で心境の変化を感じ取ったものだ。千田さんは、このセリフを選んだ理由についてこう述べる。
「まだまだ続くコロナ禍で、一人で苦しみを抱え込まないで下さいとの思いが込められております。私自身も誰かに話を聴いてもらうことで、不安が取り除かれ胸が晴れた経験が幾度もあります」
昨今はズームやオンライン機能が発達し、離れていても人と繋がりやすくなったとして、辛いときはまず誰かに相談するように訴えた。
千田さんのツイートは6日現在までに1.8万リツイートを超える反響が寄せられている。ファンからは「まさかのアスカ!」、「素敵な言葉ですよね」といった感想があがった。千田さんはこのような反響について、非常に驚いたという。
「兎に角、びっくりしました。今までも掲示板の言葉を投稿してましたが、こんなに伸びることはなかったので。私が『式波』をアニメ版の『惣流』と間違ってしまったことか、お寺にエヴァの言葉を掲示したことが意外だったのか、あるいはコロナ禍で不自由な生活を強いられる人々の心に響くものがあったのかもしれません」
千田さんは当初、テレビアニメに登場する「惣流・アスカ・ラングレー」のセリフとして紹介してしまったが、実際は新劇場版アニメに登場する「式波・アスカ・ラングレー」のセリフである。現在は掲示板やツイッター上に名前を訂正したものを掲載している。
訂正版をツイッター上に掲載すると、なんと式波・アスカ・ラングレー役を務めた声優・宮村優子さんも反応した。宮村さんは、この投稿を引用リツイートしながら、新劇場版アニメでのセリフを寄せた。
「そっか...私、笑えるんだ... 式波・アスカ・ラングレーより」
千田さんは、宮村さんからコメントをもらえたことについて「一エヴァファンとして光栄です」と話した。
アニメキャラのセリフを用いた理由は
さて最明寺では、これまでにもアニメや漫画のキャラクターのセリフの掲示を行ってきたそうだ。これまでには「鬼滅の刃」のセリフも掲示してきたが、最近はエヴァンゲリオンシリーズに関連したセリフを多く掲示しているという。
「アニメや漫画のセリフを採用しているのは単純に私が結構好きで読んでいることと、良いセリフが多いなと思います。また、若い世代や女性に仏教やお寺に興味を持ってもらい、足を運んでほしいと思ったからです。鬼滅の刃なんかは仏教を感じさせるセリフも多かったですね」
現在、お寺は葬儀やお盆・彼岸などの特別な時にしか参拝しない場所となっており、特に若い世代からはかなり遠い存在になっていると感じているという。千田さんは「人の『生老病死』すべてに関わるのが仏教本来の教えですので、特別な時ではなく普段から気軽にお寺に足を運んでほしい」と話した。
「最明寺は仏前結婚式でのLGBTQ WEDDING(同性婚)やピンクリボン運動、障がい者 支援、フードパントリーなど様々な活動を展開しております。『お寺』はかつては寺子屋や駆け込み寺と呼ばれたように、地域コミュニティの拠点として機能していた時代があります。最明寺は当時の寺院の姿を近づこうと、地域の人びとと様々な活動に取り組んでおります。是非川越にお越しの際は、お立ち寄りくださいませ」
このほか最明寺では、アニメなどをモチーフにした花手水を展示しているという。手や口を清める手水舎(ちょうず)の手水鉢を花などで飾ったものだ。千田さんは、「掲示板と共に人々に密にならない方法で癒しを感じてほしい」と話した。
(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)
『なんだか楽になったわ。誰かと話すって心地いいのね。知らなかった』
— 千田明寛 (最明寺 副住職) (@saimyou_kun) April 3, 2021
エヴァンゲリオン
惣流・アスカ・ラングレー pic.twitter.com/yC3j1LCXZ7
そっか…
— 宮村優子 (@386miyamura) April 4, 2021
私、笑えるんだ…
式波・アスカ・ラングレーより https://t.co/oTeoaLn1zU