世界的にも屈指の多作脚本家
橋田さんの大きな特徴は、長期にわたって人気シリーズを書き続けたこと。その代表格が、TBSの「渡る世間は鬼ばかり」だった。こちらも石井ふく子プロデューサーの担当。スペシャル編も含めると90年から2017年まで500話以上になった。複数の家族を軸に多数の人物が絡み合い、親子や兄弟の確執、教育、遺産、嫁姑問題などをこってり描いた。登場人物の老いや成長する姿に、視聴者も自身の年輪を重ねて、ホームドラマとしては異例のロングランになった。
このほか、杉村春子さんらが主演の家族ドラマ「おんなの家」は、1974年から93年まで東芝日曜劇場で断続的に16作。宇津井健さん主演の『たんぽぽ』は73年から78年まで日本テレビ系列の月曜スター劇場で全5シリーズ、池内淳子さん主演の『つくし誰の子』は、71年から75年にかけて4シリーズ、「隣の芝生」も「となりシリーズ」になって何度も放映された。
映画や舞台を含めると、生涯で200作以上の作品に関わり、世界的にも屈指の多作脚本家だった。菊池寛賞(84年)など多数の受賞歴がある。原作も橋田さんが創作しているケースが多かった。登場人物のセリフ回しが長いことで知られたが、忙しい主婦が、家事をしながら見ていてもストーリーが分かるように、との配慮からだった。