卒業・入学シーズンの春は、晴れ着として着物と袴の組み合わせが風物詩である。袴に合わせる履物といえばブーツや草履が定番だが、ブーツの「色」に変化が生じているようだ。
この春、定番の黒系だけでなく、白系のブーツを合わせた人を見かけなかっただろうか。インスタグラムやツイッターでも、晴れの日の記念写真をアップする人の中に少しずつ白系のブーツ姿を見かけるようになってきた。「袴×白ブーツ」の可能性を探ってみた。
和服で街歩きの選択肢にも
2021年3月下旬、記者は卒業式シーズンで着飾った女性を街中で見かけるうちに、時折白系のブーツを履いている女性がいることに気づいた。袴にブーツを合わせる「はいからさん」スタイルだが、スタンダードでフォーマルな印象の黒ブーツに見慣れた目には斬新に映る。
和装に限らず、ホワイト・オフホワイト・アイボリーなど白系のブーツは、2020年からトレンドになっている。ウェブメディア「ananweb」などに連載を持つファッションライターでスタイリストの角佑宇子さんは、このブームについてこう解説する。
「もともと白ブーツは2019年の春夏頃から登場していました。しかし、従来は黒やブラウン、キャメルといった定番カラーがメインだったので、白ブーツの取り入れ方に難色を示す方も多かったようです。
そこに2020年頃から、カラーパンツ、ワントーンコーデ、ベージュなどをベースとしたラテコーデなどが流行。白ブーツの相性がとても良いので、今季はより一層白ブーツへの支持が高まったのだと思います。世代としては20代?30代がメインユーザーかと思います」
和服、特に卒業式での装いに白ブーツが普及しているかどうかは、「一部のファッション感度が高い学生さんぐらいでしょうか。増えているという実感はありません」(角さん)とのことだが、「着物レンタル・袴レンタルを利用した若い女性が自前の白ブーツと合わせて街を歩くというケースは増えるのではないのかなと思います」と分析する。
ただ、袴に合わせてみる着こなし自体には「個人的にその組み合わせを考えたことはなかったのですが、新しい和装スタイルとして素敵だと思います。ポイントとなるのは袴との色合わせではないでしょうか」(角さん)と可能性を指摘した。