「60歳になっても、フルスイング」
11月のオープン戦で初ヒットを打った加藤選手は、その後のOB戦でもタイムリーヒットを放った。自身のバッターとしてのスタイルを、どう捉えているのか。
「ストライクが来たら、最初からフルスイングをすることしか考えていません。2ストライクを取られるまでは、ライトスタンドの方を見ています」
吃音の影響もあり、今もベンチからの「声出し」がうまくできないことがあるという加藤選手。それでも「みんなのマネをしながら、オウムのように喋ればいい。みんなの声に合わせれば、大丈夫」と前向きに話す。
「若いみんなと野球ができて、本当によかったなと思います」
4月からは春季リーグがはじまる。57歳での公式戦出場に期待もかかっているが、本人は「出場してヒットを打つことよりも、大事なのはチームが勝つこと。3部で優勝して、2部に昇格する。それが一番の目標です。試合に出なくても、ランナーコーチだったりバット引きだったり、できることをやるだけです」と謙虚に語る。
このまま行けば、4年生のときには60歳を迎えている加藤選手。還暦になって、どんなプレーヤーでいたいか――。最後に聞いてみた。
「来た球をフルスイングできるバッターでいたいです。60歳になっても、フルスイング。生涯、フルスイング。そのためには、日々の鍛錬を重ねて、好きな野球が続けられるようにしたいです」
遅れてやってきた男の「球春」は、まだ始まったばかりだ。
(J-CASTニュース記者 佐藤庄之介)