「嫁を一晩貸せ」「お母さんと寝させろよ」 第三者委調査で判明、笠松競馬場「セクハラ調教師」の衝撃語録

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   数々の不祥事が明るみになっている岐阜県の笠松競馬場で、今度は男性調教師によるセクハラ疑惑が出てきた。

   この調教師は、複数の女性スタッフらに対し、体を触ったり卑わいな言葉をかけたりしていたという。その詳細な内容が、同県地方競馬組合が設置した第3者委員会がまとめ、2021年4月1日に公表された報告書で明らかになった。

  • 今度は男性調教師によるセクハラ疑惑が(写真:山根英一/アフロ)
    今度は男性調教師によるセクハラ疑惑が(写真:山根英一/アフロ)
  • 第三者委員会の報告書の該当部分(1)
    第三者委員会の報告書の該当部分(1)
  • 第三者委員会の報告書の該当部分(2)
    第三者委員会の報告書の該当部分(2)
  • 第三者委員会の報告書の該当部分(3)
    第三者委員会の報告書の該当部分(3)
  • 第三者委員会の報告書の該当部分(4)
    第三者委員会の報告書の該当部分(4)
  • 第三者委員会の報告書の該当部分(5)
    第三者委員会の報告書の該当部分(5)
  • 第三者委員会の報告書の該当部分(6)
    第三者委員会の報告書の該当部分(6)
  • 第三者委員会の報告書の該当部分(7)
    第三者委員会の報告書の該当部分(7)
  • 今度は男性調教師によるセクハラ疑惑が(写真:山根英一/アフロ)
  • 第三者委員会の報告書の該当部分(1)
  • 第三者委員会の報告書の該当部分(2)
  • 第三者委員会の報告書の該当部分(3)
  • 第三者委員会の報告書の該当部分(4)
  • 第三者委員会の報告書の該当部分(5)
  • 第三者委員会の報告書の該当部分(6)
  • 第三者委員会の報告書の該当部分(7)

「いい尻しとるな」「触っていいか」

   「いい尻しとるな」「触っていいか」「触るぞ」。証言によると、男性調教師は、レース中に移動しているバスの車内で、ある女性きゅう務員に対し、こんな言葉をかけて、お尻を触るなどしていたという。また、別のきゅう務員と交際していることを知って、 「昨日、(交際相手)とやったか」と発言したという。

   笠松競馬場を巡っては、騎手らによる所得税の申告漏れが発覚し、禁止されている馬券購入の疑いが出てきた。馬券購入では、岐阜区検が3月29日、元騎手と元調教師の4人を競馬法違反の罪で略式起訴している。

   競馬場は、岐阜県と笠松町、岐南町でつくる一部事務組合である同県地方競馬組合が運営している。組合では、相次ぐ不祥事を受けて、第3者委の不適切事案検討委員会を設置し、同委で関係者に聞き取り調査を進めてきた。その結果が4月1日に報告書としてまとまり、競馬場の公式サイトで発表された。

   報告書では、所得税申告漏れや違法馬券購入の疑惑のほか、常態化していたというセクハラについても、関係者の証言をつづっている。

   それによると、3人の女性きゅう務員が男性調教師によるセクハラを訴えているといい、1人は数年前から、2人は2018年から被害に遭った。男性調教師は、きゅう務員らの体を触ったり、卑わいな言葉をかけたりする行為を繰り返したといい、組合などでは、同年7月に調教師に注意書を交付した。これに対し、調教師は、2度としないとする誓約書を提出したが、その後もセクハラは続いた。

男性調教師は、卑わいな言葉はかけたが触ったりしていないと反論

   第3者委の不適切事案検討委員会では、女性きゅう務員らへの聞き取り調査の結果、男性調教師のセクハラにつて、次のような事実を認定したとした。

   調教師は、誓約書を出した2018年8月以降も、きゅう務員らのお尻を触ったり、足を開いてズボンの股間をのぞき込んだりしたほか、「寒いから」と言って抱き着くなどとした。さらに、きゅう務員のお尻を触った感触について周囲に聞こえる大きさの声で話したり、出入り業者の従業員女性がいる状況で、他の調教師と性行為の感想などを同様な声で話し合ったりした。

   20年には、女性きゅう務員に対して、「いつ抱かせてくれるんや」「トイレでいいでやらせろ」「3 秒で済むで」と声をかけたほか、きゅう務員の夫に対して、「嫁を一晩貸せ」と発言した。同年10月から翌21年1月にかけては、出入り業者の従業員女性らに対しても、「胸や足の間に顔を埋めさせてくれ」「触らせてくれ」と言っていた。

   また、競馬場の騎手に対しても、20年以降、「お前のお母さんとデートさせろよ」「お前のお母さんと1回寝させろよ」などとセクハラ発言をした。この騎手の容姿も揶揄し、「太っている」などと言っていた。

   こうした言動で、一部の被害者は、精神的なダメージを受け、心身の状態に変調をきたしていると訴えたという。

   報告書では、「相当長期間にわたって常態化していたものと言わざるを得ず、 悪質性は高い」としたが、男性調教師は、聞き取り調査に対し、卑わいな言葉はかけたかもしれないが、触ったりはしていないと反論し、悪質なセクハラとは認識していないとした。

「組合の怠慢のせいで、不公正や不正を助長した」と報告書で断罪

   報告書によると、男性調教師が誓約書を書いた2018年8月以降も、度々女性きゅう務員らからセクハラ被害の訴えがあったにもかかわらず、組合は、警察には相談していたものの、調教師に対して、事実確認を含む聴取や注意指導を行ったことはなかった。

   20年秋に競馬法違反の疑いが浮上して、組合がきゅう務員らから被害を聞き取っても、調教師への聴取や注意指導を行わなかったとしている。

   なぜセクハラなどが常態化したかの原因について、報告書では、「組合の怠慢」を主な理由に挙げる。「漫然と何もしないことは、不公正や不正を助長することと同義である」とし、次のように断罪した。

「このような組合自身の怠慢な態度を見れば、組合に違法行為を申告しても何も対応しないだろうとの信頼の低下をもたらし、これが違法行為の申告をとどまらせ、発覚の遅れにも繋がった」

   さらに、今後のレースについては、こう疑問を呈した。

「一般の市民の目線から見て、『不公正ないし不正』な人間が、『公正』な競馬を実施できるのか疑問に思うことは当然である。今回、問題を起こした各人に競走の公正に対する社会的な信頼の対象であるとの自覚が欠如していたことは、徹底的に糾弾されるべきである」

   この報告書を受け、組合の企画広報課では4月1日、J-CASTニュースの取材に対し、「できるだけ早急に、処分委員会を開いて、関係者への処分を行うとともに、再発防止策を採りたいと考えています」と話した。

   不祥事を受けて、レースは、4月末まで自粛しているが、再開については、「処分などの進捗状況によると思います」として明言しなかった。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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