着物の帯を踏みながら歩いたり、帯を岩に乗せてその上に座ったり...。モデルのKoki,さん(18)を起用したこんな内容のイタリア高級ブランド「ヴァレンティノ」の広告に、ツイッター上で批判が相次いで、広告の写真や動画が削除された。
帯の扱いが酷く、日本文化に敬意がない、という指摘が多い。ヴァレンティノジャパンは2021年3月30日17時ごろの時点で、「こちらに関しましては、確認を進めているところです」と答えた。
参考にした映画『草迷宮』には、帯を敷いた道を行くシーンもあるが...
春らしい白のミニドレスを着て、ピンク色のハンドバッグを左肩に下げたKoki,さんが、物憂い表情でポーズを取る。雅楽のようなBGMがかかり、ハイヒールの下には、色鮮やかな着物の帯があった。
帯は、オブジェのある庭園の坂のようなところに敷かれ、Koki,さんは、途中で振り向いてポーズを取りながら、帯の道を登っていく。
こんな30秒間の動画は、ヴァレンティノの日本語版公式サイトに、2021年3月中旬にアップされた。
さらに、ヴァレンティノのツイッターやインスタグラムでも、同様の構図の写真が投稿され、動画のポーズ場面などのほか、岩に乗せた帯の上にKoki,さんが座っているものもあった。
これらの広告は、多様な価値を意味する「DI.VA(ディーヴァ)」キャンペーンの一環で、ブランドの顔に選ばれたKoki,さんがPR役に抜てきされた。公式サイトによると、泉鏡花の同名小説を元にした故・寺山修司監督の映画『草迷宮』にインスピレーションを受けたとし、映画では、実際に帯を敷いた道を登場人物が行くシーンも出てくる。ヴァレンティノの公式サイトでは、「クリエイティブなミックスを通じてラディカルな姿勢を表現するコレクション」だと説明されていた。