もやしは買って帰ったらすぐに清潔なつまようじで袋の真ん中あたりに1ケ所穴を開けて――SNS上でこの「分福もやし」パッケージ裏面に記載された「もやしの上手な保存方法」に大きな注目が集まった。
J-CASTニュースは、「分福もやし」を販売する富士食品工業(群馬県邑楽郡板倉町)に「もやしの上手な保存方法」とその理由などについて取材した。
もやしは生きている
富士食品工業の担当者によると、消費者から「日持ちしない」という声や「もっと長持ちさせてほしい」という声を受けて、「もやしの上手な保存方法」を記載するようにしたという。パッケージ裏面に記載されているのは下記の2点だ。
「買って帰ったらすぐに清潔なつまようじで袋の真ん中あたりに1ケ所穴を開けて、冷蔵庫に入れて下さい。(もやしは生きているので、鮮度を保つには袋の中に少量の酸素が必要なのです)」
「保存には3~5℃が最適ですので、野菜室よりも冷蔵庫に入れるようにして下さい」
この記載を見たあるユーザーが2021年3月28日、ツイッター上に撮影したものを投稿したところ、30日18時までに21万を超える「いいね」が寄せられた。ツイッター上では特に、もやしの袋に穴を開けることについて「知らなかった」という驚きの声が寄せられている。
富士食品工業の担当者は、この保存方法を行う理由についてこう述べる。
「もやしは袋詰めされて流通する際に、半真空の状態となっております。しかしそのままでは植物のもやしは呼吸が出来なくなってしまいます。そこで小さな穴を開けてあげることで、ストレスなく呼吸ができ、鮮度が伸びます」
もやしは「洗わず」に食べてほしい
さらに富士食品工業の担当者によれば、もやしを保存する際には洗わないほうがいいという。
「もやしは水のみで育てております。農薬なども一切使っておらず、安全です。出荷前には工場で水につけて洗っておりますが、傷んでしまうので、自宅では洗わずそのままお召し上がりください」
またJ-CASTニュースは富士食品工業に、さらにもやしのトリビアを取材した。
富士食品工業では3種類の豆を用いたもやしを販売している。今回話題となった「分福もやし」は、春雨などの原料となる「緑豆」を発芽させたものだ。最も一般的なもやしだという。
同社ではさらに、小豆の種の仲間である「黒豆」と、小粒大豆のもやしも生産している。黒豆もやしは関西で主流のもやしであり、甘みが強いという。富士食品工業では緑豆との差別化を図るため、細めに生産している。他のもやしと比べて茹で時間が短く、手軽に調理して食べられるという。
もう1種は小粒大豆で作られたもやし。豆に栄養価が高く、機能性表示食品として販売している。味や繊維がしっかりとしていて、茹でてもシャキシャキとした触感が残ることから鍋にも合うとのことだ。
担当者は今回SNS上でもやしに注目が集まったことについて、こう述べた。
「もやしを改めてみていただけて嬉しいです。これからもおいしく召し上がっていただけますと幸いです」