球春到来。プロ野球が2021年3月26日から開幕して各地で熱戦が繰り広げられる中、日本ハムの清宮幸太郎はジャイアンツ球場にいた。
開幕2軍スタートで同日のイースタン・巨人戦に「1番・指名打者」で先発出場すると、左腕・横川凱から1号アーチを放つなど2安打2打点の活躍。豪快な打撃で復調の兆しを見せた。
「ハングリー精神が薄い」
「同期入団のヤクルト・村上宗隆に大きく差をつけられて、ロッテ・安田尚憲も期待を込めての意味合いが強いが4番に座っている。清宮は今年やらないと野球人生が続かない覚悟でやらないと」(日本ハム球団OB)
早実で史上最多の高校通算111本塁打をマーク。ドラフトで高校生最多タイの7球団が競合した逸材だが、結果を出さなければ扱いも変わってくる。
昨年は96試合出場で打率.196、7本塁打、22打点。開幕からシーズン終盤までファームに降格することがなかった。期待を込めて1軍帯同の側面があったが、今年は違う。オープン戦で13試合出場し、打率・167、0本塁打。中途半端なスイングで三振や凡打を繰り返し、表情も浮かない。
4年目にして、故障以外で初の開幕2軍スタートが決まった。
スポーツ紙のアマチュア担当記者、日本ハム担当記者たちは清宮について、「いい子ですよ」と口をそろえる。
「育ちがいいんでしょうね。記者の質問にも丁寧に答えるし、先輩の選手たちもかわいがられている。ただ、早実の先輩の斎藤佑樹にも共通しますがハングリー精神が薄いかなとは思います。のんびりした性格で、ミスをすると何クソという感じではなく、落ち込んでしまう。もう少しガツガツしてもいいかなとは思います」
高校時代の「迫力」はどこへ
一流選手に共通するのは「負けず嫌い」であることだ。
高卒で入団し、主力として活躍している中田翔、西川遥輝もファームにいる時から「1軍で活躍したい」とギラギラしていた。
喜怒哀楽を前面に出すプレースタイルが一概に良いとは言えないが、清宮は打席で迷いが見て取れる。追い込まれた後に粘ることなく凡打に終わる場面が多いため、淡白に映ってしまう。
早実の時の映像を見ると、自信満々の表情で投手を飲み込むような迫力があった。「和製ベーブ・ルース」と呼ばれた長距離砲が目の色を変え、覚醒する姿を見たい。