3.11は「イベント」じゃない 女川のラジオプロデューサーが、在京メディアに抱いた「怒り」と「感謝」【#これから私は】

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「今年の3.11は何を予定されていますか?」

   震災から10年が経った2021年。「コロナ禍の影響で長期取材が減り、『手短』な取材で済ませようとするメディアが増えた」と大嶋さんは語る。そんな中、在京メディアの姿勢に違和感を覚える出来事があったという。

「今年の3.11は何を予定されていますか?という電話が何本もかかってきました。びっくりしました。被災地では3月11日に合わせて、イベントか宴会をするものだと思っているのでしょう」

   ラジオの「語り手」となってきた女川の人たちは、「3.11」をどう思っているのだろうか。宮城県のラジオ局「TBCラジオ」で21年3月21日に放送されたOnagawaFM制作の番組『佐藤敏郎のonagawa now! 大人のたまり場』(以下、onagawa now!)で、次のように語っている。

「重苦しく、大々的に思わなくてもいいのかなっていう風に思って。むしろ『そっとして欲しい』とか『そっとしていたい』みたいな」(元教師・佐藤敏郎さん)

「普段通りにしたいんですよ。東日本大震災の『あれから10年』っていうよりは、そこで亡くなった私の祖父の命日なわけですよ。それを粛々と偲ぶっていう日にしたい」(蒲鉾製造「高政」社長の高橋正樹さん)

   大嶋さんも、「メディアから『取り上げたい』というリクエストがあるのは理解できるし、できる限り協力はします」と語る。それでも、東京と被災地の間に認識の「ギャップ」があることは拭えないという。

「3.11がイベントだと思っているのは東京の人たちだけ。被災地では、そうじゃないんですよ。だって、あれだけの人数が亡くなっているんですから」
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