2021年3月13日に行われたJRグループのダイヤ改正により、関東には新しい特急列車が生まれた。東京・新宿~小田原間の特急「湘南」だ。
漢字だけの名称が印象的な「湘南」だが、特急列車の名称スタイルにはどんな傾向があるのだろうか。今回のダイヤ改正を機会に、その変遷について考えてみた。
「スーパー」が消えた関東
これまでの「湘南ライナー」に代わってデビューした「湘南」。漢字だけという名前は、2007年に廃止された特急「東海」(東京~静岡)を思い出させる。
そのほか、漢字だけの特急は、2019年に「富士回遊」(千葉・新宿~河口湖)がデビューしている。「富士回遊」という名称は中国・台湾からの観光客に配慮し、漢字名になったという。今後も漢字名の特急列車が増えるかもしれない。
ところで昨年3月のダイヤ改正では、首都圏~伊豆を結んだ特急「スーパービュー踊り子」が廃止された。関東を走る定期特急列車の中で「スーパー」が付いた名称があるか、2021年3月号の時刻表を開いてみた。
すると「スーパー」が付いた定期特急列車は見つからない。
1990年代前半には「スーパーひたち」や「スーパーあずさ」のように基本的に新型車両を使う停車駅が少ない列車に「スーパー」が付けられていた。現在では「スーパー」が消え、「あずさ」・「かいじ」、「ひたち」・「ときわ」のように同一路線であっても運行区間により名称を変えるスタイルが定着した。
利用者からすると「ひたち」「スーパーひたち」が混在するよりも、現状の方がはるかにわかりやすい。
まだ「スーパー」が残る関西
関西でも「スーパーくろしお」や「スーパー雷鳥」が消え、「スーパー」全盛時代は過去の話となっている。
一方、現在でも「スーパー」を名乗っているのが、京都~鳥取・倉吉間の「スーパーはくと」だ。智頭急行線の開業に伴い、1994年に登場した特急だ。
当時は智頭急行所属の新車HOT7000系で運行される列車を「スーパーはくと」、国鉄型特急列車181系で運行される列車を「はくと」と命名した。その後、全列車がHOT7000系で運行されることになり、「スーパーはくと」に統一された。
京都~鳥取・倉吉間(智頭急行線経由)の特急は「スーパーはくと」しかなく、地元住民にも親しまれているので、今さら名称変更する必要もないのだろう。
そのほか「スーパー」を冠する特急は、JR西日本管内では、岡山~鳥取駅間を結ぶ「スーパーいなば」、鳥取・米子~新山口駅間を結ぶ「スーパーおき」、鳥取~益田駅間を結ぶ「スーパーまつかぜ」の3列車が残っている。
(フリーライター 新田浩之)