東京メトロは2021年3月25日に2021年度の事業計画を発表、新型コロナウイルス感染拡大で運賃収入が落ち込んだ影響に鑑み当初計画より設備投資を抑制し、優先度の低い分野を後回しにホームドア整備などを優先する。
公表された2021年度の新型車両導入計画では、丸ノ内線の2000系導入はわずか1編成。有楽町線・副都心線と半蔵門線の車両置き換えを優先し、丸ノ内線(本線)の現行の02系は延命される可能性が出てきたようだ。
7000系・8000系廃車を優先
東京メトロは現在、丸ノ内線に2000系、有楽町線・副都心線に17000系、半蔵門線に18000系の導入を進めている。2019年2月に運行を開始した2000系は、当時の東京メトロの発表では2022年度までに53編成を導入し、池袋~荻窪間の本線用の02系をすべて置き換える予定だった。
現在までの2年間で32編成が運行中であったが、2021年度導入の2000系は1編成のみと発表された。17000系は8両編成12本と10両編成2本の合計14編成、18000系は4編成を導入予定で、有楽町線・副都心線・半蔵門線の置き換えを優先する。
車齢も置き換え対象の7000系(有楽町線・副都心線)が最古の車両で1974年製、8000系(半蔵門線)が1981年製と古く、1988年導入の02系より優先して置き換えられるのは理にかなっている。
もし2022年度中に02系を置き換えるとなれば22年度中に2000系を20本製造する必要があり、これまでのペースでは難しい。数年程度の02系の延命も現実味を帯びてきた。
02系はすでに現役車の大半が「B修」と通称される更新工事を終えており、車内はLCDモニターや車椅子スペースが設けられてサービス向上が図られている。
東京メトロでは引退した千代田線の6000系の就役期間は49年に及び、7000系・8000系も40年以上使用し続けている。鉄道車両の廃車は平均すると車齢30~40年で行われており、02系の延命も想定内ではあるといえる。
このほかにも東京メトロは相鉄線直通に備えた南北線の8両化、全駅へのホームドア整備などの大規模投資を控えている。テレワークの推進や、外国人を含めた東京都内の観光需要が戻らないことも同社には逆風となる。突如悪化した経営環境は、2022年度以降も事業計画に影響を与える可能性がある。