コロナ禍の「復興五輪」どう思う? 「本当に手助けになるかは...」延期前後で変わった地元の反応【#これから私は】

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【特集】あの日から10年 東日本大震災は終わらない

   球春到来だ。春のセンバツ高校野球に続き、プロ野球が2021年3月26日に開幕する。今季の話題のひとつは、大リーグ・ヤンキースで活躍した田中将大投手の、東北楽天ゴールデンイーグルス復帰。2013年、チーム日本一の原動力となったエースの帰還に、地元の期待は膨らむ。

   田中投手は復帰会見で、今夏に予定されている東京五輪に「出たいと思っています」と明言した。野球・ソフトボール競技の一部は、福島県で行われる。ただ、新型コロナウイルスの影響で1年延期となった五輪は、開催に向けてまだ揺れている。「復興五輪」と位置付けられたスポーツの祭典を、東北の人たちはどうとらえているのか。

  • 五輪の野球・ソフトボールが行われる福島市・県営あづま球場
    五輪の野球・ソフトボールが行われる福島市・県営あづま球場
  • 五輪の野球・ソフトボールが行われる福島市・県営あづま球場

1年前は五輪を楽しもうとの気持ちを感じた

   JR福島駅から車で20分。県営あづま球場を記者は訪れた。東京五輪のソフトボールが7月21・22日に、野球が28日に、それぞれ組まれている球場だ。大規模な改修が完了し、グラウンドには最新の人工芝が敷き詰められた。踏みしめると足から柔らかさが伝わる。また水はけが抜群だという。ロッカールームやシャワー室と内部の設備も拡充。バリアフリーに配慮し、例えば車いす用観覧席では目の高さにある鉄柵を取り外し可能にして見えやすくするなど、快適な観戦環境を整えた。

   政府は東京五輪開催にあたり「復興を後押しすることを主眼とするもの」(復興庁ウェブサイト)としている。いわゆる「復興五輪」の位置づけについて記者は1年前の春、取材先の岩手、宮城、福島での受け止めを取材した。聖火ランナーに選ばれた人、ホストタウンとして出場国の選手と地元民の交流促進を進めていた自治体と、程度の差はあるが五輪を楽しもうとの気持ちを感じた。

1年前、福島市中心部には大会開催のフラッグが飾られていたが今年は見当たらなかった
1年前、福島市中心部には大会開催のフラッグが飾られていたが今年は見当たらなかった

   だが新型コロナウイルスの感染拡大で1年延期になると、全国的に五輪熱は冷めていった。状況はなかなか好転しない。次第に「五輪どころではないのでは」との意見も増加。1年前、福島市中心部には街灯に野球・ソフトボール競技実施を知らせるフラッグが飾られていたが、今年3月15に同じ場所を訪れると撤去されていた。20日には、大会時に海外からの一般客受け入れ断念が決まった。

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