カメラを抱えた鉄道ファンらが東京都日野市内のJR中央線(快速)の線路上に立ち入り、そのせいで電車が緊急停車すると一斉に逃げる様子の動画や写真がツイッターに投稿され、物議を醸している。
現場は、警察も出動して騒然となり、そのうち3人ほどが取り調べを受けたようだ。JR東日本では、自ら警察に通報したとし、警視庁日野署では、鉄道営業法違反や軽犯罪法違反などの疑いで捜査している。
JR「被害届の提出や告訴をすることも含めて、警察に相談」
「止まった!止まった! あー、止まった」。鉄橋の上を走っていた電車がキーと急ブレーキの音を立てて緊急停車すると、鉄橋の端の線路上にいた5人ほどが一斉に鉄橋から下に降りていく。
すると、「逃げたぞ!」との声が上がって、鉄道ファンらが集まっていた河川敷の土手は騒然となった。これは、2021年3月24日夕にツイッターに投稿された20秒ほどの動画の様子だ。
JR東日本八王子支社の広報室にJ-CASTニュースが25日に取材したところでは、東京発高尾行きの下り電車が緊急停車したのは、24日16時45分ごろ。立川―日野両駅間の多摩川橋梁上で、運転士が線路内への人の立ち入りを見て、急ブレーキをかけた。
JRでは、すぐに110番通報し、日野署の署員らが現場に駆け付けた。JRによると、署員の取り調べを受けたのは3人ほどで、3人については、同署で保護したという。「被害届の提出や告訴をすることも含めて、警察に相談している」(広報室)としている。
日野署では25日、鉄道営業法違反や軽犯罪法違反などの疑いで捜査していると取材に明らかにした。
なお、電車は、現場で26分間停車した後、運転を再開した。この影響で、中央線は上下線で遅れが出ている。
運転士「皆さんのために、電車止めてるんですよ」
3月24日は、定期運行を終了した185系電車を長野総合車両センターで解体するため、回送電車を運行していた。その写真を撮ろうと、撮り鉄らが集まったらしい。
実際は、緊急停車した電車は、185系ではなく、乗客を乗せていた。JRによると、車両点検の影響で185系の発車時間が遅れ、今回の電車の後続を走る予定だった。185系は、緊急停車からしばらくして中央線を走るのが目撃されている。
JRでは、線路に立ち入ったのが撮り鉄だったかは確認していないとしながらも、「線路内への立ち入りは危険ですので、絶対に止めるようお願いしています」と話した。
ツイッター上では、鉄橋の端近くと見られる場所で、撮り鉄らしき20人ほどが金網のフェンス内にいる後ろ姿の写真が複数アップされている。ツイート情報によると、10人ほどが線路内に立ち入ろうとしたため周囲が注意したが、聞かなかったという。写真投稿では、線路の上で望遠レンズを装着したカメラを構える姿があった。
電車が緊急停車後に線路から逃げたものの、鉄橋下で3人が隠れているのが見つかって、警察の取り調べを受けたともいう。3人は、警察官から電車の運転士が見える位置まで来るよう指示され、運転士が3人に呼びかける様子の動画も投稿されている。
運転士は、電車の窓から、こう大声で説諭していた。
「ルールを守ってないから、こうなるんじゃないですか! 皆さんのために、電車止めてるんですよ」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)
運転手による捕まった人達への説教タイム(笑)
— 赤いラピート (@EF64EF81) March 24, 2021
本当に馬鹿やなw pic.twitter.com/GLPUJngc3g