カジュアル路線に戸惑い? ネットに広がる「俺たちのワークマンを返して」の声、専務取締役にぶつけてみた

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   作業服販売大手のワークマン(群馬県伊勢崎市)。近年は一般客を意識した「ワークマンプラス」「#ワークマン女子」を展開し、カジュアル路線に力を入れていることでも話題だ。その一方で、急激なブランドイメージの転換と客層の変化に、ネット上では、次のような「戸惑いの声」も聞かれている。

俺たちのワークマンを返してーー

   こうした声は、経営陣の耳に届いているのか。J-CASTニュースはワークマンの「カジュアル化」を推し進めたことで知られる、土屋哲雄専務取締役に話を聞いてみた。

  • ワークマンの土屋哲雄専務取締役
    ワークマンの土屋哲雄専務取締役
  • 女性マネキンが置いてある「#ワークマン女子」の入り口
    女性マネキンが置いてある「#ワークマン女子」の入り口
  • 「#ワークマン女子」のウィメンズコーナー
    「#ワークマン女子」のウィメンズコーナー
  • 「#ワークマン女子」のシューズコーナー
    「#ワークマン女子」のシューズコーナー
  • 「インスタ映え」ねらったフォトスポットも
    「インスタ映え」ねらったフォトスポットも
  • とうきょうスカイツリー駅出てすぐの場所にある「#ワークマン女子 東京ソラマチ店」
    とうきょうスカイツリー駅出てすぐの場所にある「#ワークマン女子 東京ソラマチ店」
  • ワークマンの土屋哲雄専務取締役
  • 女性マネキンが置いてある「#ワークマン女子」の入り口
  • 「#ワークマン女子」のウィメンズコーナー
  • 「#ワークマン女子」のシューズコーナー
  • 「インスタ映え」ねらったフォトスポットも
  • とうきょうスカイツリー駅出てすぐの場所にある「#ワークマン女子 東京ソラマチ店」

男性向けウエアも販売の「#ワークマン女子」

「えっ、かわいい」
「こんなところにお店できたんだ」

   東武スカイツリーライン・とうきょうスカイツリー駅の高架下付近。通りがかった人々は、興味深そうに店の中を覗き込んでいた。2021年3月18日に行われた「#ワークマン女子」の都内1号店となる「東京ソラマチ店」のメディア向け内覧会での様子だ。店舗は19日にオープンした。

   「#ワークマン女子」はワークマンが20年10月から手がける新業態。コンセプトは「作業服を扱わない店」で、女性をメインターゲットに低価格・高機能を売りにしたウエアやシューズなどを多く取り揃えている。

   「東京ソラマチ店」では、ウエアに身を包んだ2体の女性マネキンが入り口で出迎える。メディア向け資料には「男性が入り口付近では多少『居心地』が悪く感じる場合もあります」との説明もある。

   店内では「SNS映え」を意識したというフォトスポットも設けている。「女子」を打ち出した店名ではあるものの、性別を問わないアウトドアウエアやシューズ、男性向けのスポーツウエアなども販売している。

「若い男女や夫婦の存在も念頭に置いています。女性客の心を捉えられれば、男性客の購買にもつながっていくからです」

   J-CASTニュースの取材に対し、店づくりの狙いをこう語ったのが、ワークマンの土屋専務取締役だ。長年の商社勤務を経て、12年にワークマンへ入社。社員にノルマや期限を課さない「頑張らない経営」を掲げ、同社を9期連続の最高益(20年3月期まで)に導いた仕掛け人として知られている。

   そんな土屋専務のもとで推し進められたのが、「カジュアル化」だった。

客層変化で「店に入りづらい」の声も

   1980年に「職人の店 ワークマン」として群馬県・伊勢崎市から出発したワークマン。工場や工事現場などで働く人に向けた作業服・作業用品の専門店として、全国の郊外エリアで店舗網を拡大してきた。歌手・吉幾三さんを起用したCMでも知られ、「現場の味方」というイメージも強かった。

   しかし、14年には吉さんのCMが終了し、以降はウエアのカジュアルさをアピールしたCMに。その後も、18年にはアウトドア・スポーツウエアを中心とした「ワークマンプラス」を初出店し、19年にはワークマンのウエアを着たモデルが、大雨や強風を再現したランウェイを歩く「過酷ファッションショー」を実施。20年からは「#ワークマン女子」の展開を始めるなど、一般層への間口を広げてきた。

   一方で、急激なブランドイメージの転換によって、ネット上では戸惑いの声もあがっているのも事実だ。

「すっかり一般客対象のお店に変わっていて、職人の店じゃなくなってる」
「昔のワークマンの方がよかった」
「吉幾三はどこいったんだよ」

   また、既存のワークマンにも従来とは異なる客層が流入したことで「店に入りづらくなった」とする声や、客数が増えたことで「混んでいて駐車場に車を停められない」といった指摘も聞かれている。

「エゴサーチが日課」土屋専務の答えは...

   こうした声は、経営陣の元に届いているのだろうか。土屋専務に聞いてみると、こんな答えが返ってきた。

「ネット上で『【悲報】俺たちのワークマンはどこへ行った』のような反応があることは、もちろん認知しています」

   土屋専務は1日1時間の「エゴサーチ」を日課として実施。ネットに出た記事の反応や「いいね」数などを毎日のように分析し、経営に生かしていると話す。従来のワークマンを利用してきた人たちの意見も把握しているという。

   では、前述のような「店に入りづらい」「車を停められない」といった声を、実際の店舗戦略にどう反映していくのか。土屋専務が語ったのは「客層の振り分け」と「駐車場の確保」だ。

   具体的には、「ワークマン」と「ワークマンプラス」 を作業客中心、「#ワークマン女子」を一般客中心にそれぞれ分散。その上で、新規出店する「#ワークマン女子」の駐車可能台数を多めに確保することで、一般客の受け皿を確保する。これによって、既存のワークマンを使う人が車を停めやすくしたいという。

「『#ワークマン女子』をやるから、(従来の)作業客向けの対策をやらないんじゃないか、というのは全く逆です。うちは『目標のない会社』としてやっていますが、駐車場の問題はお客様にご迷惑をおかけしている以上、目標を持って改善する必要があると考えています」

   ワークマンは今後10年間で400店舗の「#ワークマン女子」を新規出店することを「努力目標」としている。

(J-CASTニュース編集部 佐藤庄之介)

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