「漁師の魂に火が付いた」震災後の決意から10年 三陸の漁業者と振り返る復興の歩み【#これから私は】

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連携は広がる

   震災後、生産者と消費者はそれぞれ適した形で関係を強めてきた。だがそこに、今度は新型コロナウイルスの影響が降りかかった。飲食店が時短営業や休業要請で苦しんでいる。生産者にとって、取引先のピンチは無関係ではない。

   平子さんは、首都圏の飲食店との取引が細り、頭を悩ませている。「直販は増えているが、カバーしきれてはいません」。一方の千葉さんの場合、ホタテとワカメは入札にかけるものが多い。最近は多少下落したとはいえ値は比較的落ち着いているという。

   もちろんコロナ対策に余念はない。平子さんの場合、オンライン化が進んできた世の中で「やれることはあります」と言う。個食が広がってきた近年の状況を踏まえて、「消費者の皆さんがどうすれば食べやすいか、生産者も考えていかないといけません」。そして、「隆勝丸」の事業は「食」だけにとどまらない。漁業をエンターテインメントと位置づけ、遊漁船での釣り体験などで観光客を集めている。「将来は、漁業を間近で感じられる体験を提供していきたい」。

   千葉さんは「連携」というキーワードを挙げた。

「震災は生産地が被害を受けました。その後、生産者同士の連携が進み、同じ地域、県内、全国へとその輪が広がっています。コロナでは飲食店が苦しんでいますが、彼らは震災時に生産者を支援してくれた人たち。今度は我々がサポートする番です、今後はダメージを受けた際に支え合う関係を築ければいい」
ワカメの塩蔵をする千葉さん(写真はご本人提供)
ワカメの塩蔵をする千葉さん(写真はご本人提供)

   そして、君ヶ洞さん。「コロナになって足元を見つめなおすいい機会になった」ととらえる。ホタテの相場は下がったが「震災時と比べると高値」だ。コロナの影響で県外に出ず、地元にいる際は、漁業関係者同士オンラインなどでコミュニケーションを図る機会に当てている。コロナ後を見据えて、「今しかない時間を大事に使いたいですね」。

(J-CASTニュース 荻 仁)

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