戯曲の「デジタルアーカイブ化」はなぜ必要だったのか 無料公開に踏み切った思い、担当者に聞いた

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   日本劇作家協会が、戯曲の収集と無料公開を目的としたウェブサイト「戯曲デジタルアーカイブ」を公開した。

   この取り組みに、SNS上では「こんなすごいものただで読めていいんだろうか」、「戯曲を読むのも好きなので、とても嬉しい」といった喜びの声や、公開された戯曲を使って上演を行いたいという声が広がった。

   J-CASTニュースは2021年3月16日、このサイトの公開背景について戯曲デジタルアーカイブ委員会の丸尾聡さんに取材した。

  • 戯曲デジタルアーカイブ委員会の丸尾聡さん(Zoomより)
    戯曲デジタルアーカイブ委員会の丸尾聡さん(Zoomより)
  • 戯曲デジタルアーカイブ委員会の丸尾聡さん(Zoomより)

戯曲をもっと身近に

   戯曲とは、演劇の上演を前提に執筆された文芸作品で、脚本や台本のようなもの。アーカイブには500作品を超える戯曲が収録されており、多様なジャンル、時代、地域をカバーしている。

   収録された戯曲は「劇作家名」や「作品名」、「上演人数」、「上演時間」、「ジャンル」から検索することが可能で、気になった作家・作品の戯曲を探すことはもちろん、上演条件に合わせた戯曲に出会うこともできる。作品ページでは、PDF化された戯曲が無料で公開されており、劇作家の紹介、作品概要や初演情報、上演許諾についても記載されている。

   このサイトは、文化庁の第二次補正予算コロナ支援の収益強化事業における委託事業「緊急舞台芸術アーカイブ+デジタルシアター化支援事業(EPAD)」の一環で制作された。EPADはもともと、倉庫・運輸関連業の寺田倉庫(東京都品川区)が舞台公演の映像収集・アーカイブ化を目的に行っていたものだ。この事業に協力していた劇作家協会が、戯曲の収集も行いたいと提言し、賛同を得て実現したという。

   丸尾さんは戯曲の収集を行った目的についてこう述べる。

「戯曲は一般の方々にはなじみが少ないです。出版されても売れるようなものではありません。古い戯曲は作家の方が亡くなってしまうと、埋もれ、消えていってしまうこともあります。そこで、散逸しがちな戯曲を未来に残す図書館のようなものを作りたいという想いがありました。
また『戯曲』という言葉自体を知らない方もいらっしゃると思いますが、携帯でも読めるような形にすれば、たくさんの人々に親しんでもらえる、もっと身近になるのではないかと思いました」
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