体操服の下の肌着について、横浜市立の一部小学校でも着用を勧めない指導を行っていることが、J-CASTニュースの取材で分かった。保護者の一部からは、反発の声も出ている。
また、この小学校では、体操服への着替えを1、2年生では男女同室で行っている。こうした状況について、学校や市教委に見解を聞いた。
指導は行っているが「禁止しているわけではない」
川崎市議会での問題提起をきっかけに大きな注目を集めた、小学校体育での「肌着禁止」をめぐる問題。この指導が一部横浜市立小でも行われていると、2021年3月17日にJ-CASTニュースに情報提供があった。
この学校側の説明では、汗で濡れた肌着のままだと風邪をひくといった川崎市立小の一部と同じ理由のほか、ケガをするとどこから出血か分からないなども挙げられたという。
胸が透けないか気になる女児もいて、体操着に大きなゼッケンを着けた親もいたとした。学校に異論を出したところ、肌着の許可申請を出すように言われ、イジメを気にしてあきらめた保護者がいたともいう。
また、体操服は何回着ても、持ってくるのを忘れる子もいるとして、持ち帰りは週末1回だけで、袋に入れた服に雑菌やカビなどが出ないか衛生面で不安があるそうだ。
体操服への着替えは、低学年では、男女同室で行っており、発育が早く上半身裸で着替えることを嫌がっている子供もいるとしている。
この市立小学校の副校長は19日、体操服の下の肌着を禁止しているかについて、J-CASTニュースの取材にこう答えた。
「本校では、汗をかいた後の衛生面の心配や体温が下がって風邪をひきやすいことから、児童に肌着着用を勧めていません。しかし、禁止しているわけではないです。相談があるときは、その都度対応しています」
ケガの出血が分からないという理由で肌着を勧めていないということはなく、冬場に着るトレーナーなどについては、出血が分かるように黒や濃い色にはしないよう伝えているという。
「高学年ではブラジャーを認めている」
胸が透けないよう体操着に大きなゼッケンを着けるケースがあるかについては、「高学年ではブラジャーを認めており、肌着代わりにゼッケンというのは、聞いたことがないです」とした。
希望者に肌着の許可申請を出すよう伝えたことがあったかについても、聞いたことがないという。
また、体操服の持ち帰りが週末だけという点についても否定した。
「週末には、持ち帰ることを指導しています。しかし、汚れて気になるときは、持って帰って、運動しやすいものを持ってきてもらうことにしています。体操服でないと認めないわけではないです。週末の1回だけと決めていることはありません。気になる人は持ち帰っていいと、学校便りでもお知らせしています」
持ってくるのを忘れる子もいるから週末の持ち帰りにしている、という指導をしていることはないとした。
男女同室での着替えは、1、2年生では行っていることは認めた。
「3年生以上は、教室の中央にカーテンをしたり、時間をずらしたりして、着替えてもらっています。教室が足りないこともあって、1、2年生は同室なのが現状ですが、気になる人の心情に配慮し、教員に見張ってもらうなどしています。今後は、カーテンを予算化して、改善すべき問題だと考えています」
市教委「根拠もなく、一律禁止にするのは望ましいと思っていない」
横浜市教委の小中学校企画課長は19日、この小学校が肌着禁止にしているかは把握していないとしながらも、こう話した。
「根拠もなく、(肌着の着用を)一律禁止にするのは望ましいと思っていません。肌着を着せない場合は、汗をかいて肌着が濡れると体温が急に下がって風邪をひきやすく、衛生上の理由も考えて判断していると思います。柔軟な対応や配慮をしていると考えており、肌着を着せる場合も濡れたときのために着替えを持ってくるよう指導していると思います。
教育委員会では、服装に関するルールを一律に決めておらず、体育の授業では、各校が状況を総合的に判断してやっていると思います。個々の子供に配慮して、状況に応じて対応しているということです」
肌着について、禁止などしている学校があるのかどうかは把握していないという。
体操服を週末に1回だけ持ち帰っているかについても、市教委で一律に決めてないと説明した。
「汚れていたり、汗で濡れたりしたら、洗濯のために持って帰った方がいいでしょう。1週間使っていないなら、学校に置いておけばいいので、状況を見て様々な対応をしていると思います」
男女同室の着替えについては、こう言う。
「低学年であっても、部屋を分けたり、カーテンで仕切ったりするなどの配慮をすべきです。同性でも友達の前で着替えるのを嫌がるケースもあり、様々な子供がいますので、その心情に沿って考えないといけないと思います。各校では、発達段階を踏まえて、個々の状況に応じて丁寧に対応していると思います。申し出があれば、柔軟に対応しているはずです。市内では、複数校については情報があり、教室をカーテンで仕切ったり、教室が別だったり、男女一緒の空間ではないと聞いています」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)