日本女子プロ野球リーグ(JWBL)が今季の公式戦を中止すると公式サイト上で発表し、ネット上で驚きの声が上がっている。
「選手が足りなくて試合ができない」というのが理由だ。なぜこんな事態になったのだろうか。
「登録選手が若干名となったため、公式戦を行わない判断をした」
「今シーズンの公式戦不開催の判断に至った理由としましては、女子プロ野球選手として登録する選手が若干名となった為です」
リーグを運営する日本女子プロ野球機構は2021年3月15日、例年行っていた公式戦を21年度は行わないと決めたと公式サイトで明かし、こんな理由を挙げた。
公式戦の雲行きが怪しくなったことは、スポーツ報知が2月5日、ウェブ版記事で報じていた。
記事によると、昨季に在籍した3チーム計43人から26人が退団やアマチュアチーム入りし、在籍が17人になった。女イチローとも呼ばれた三浦伊織選手らが、阪神が支援するアマチーム「阪神タイガース Women」に移籍するなどして、12年目の今季を迎えることが難しい状況だとしていた。
女子プロ野球機構は今回の発表で、今季は女子野球の普及のために野球教室を開いたり、アマチュアと交流したりして、リーグとしての基盤づくりに注力すると説明した。そして、登録選手を増やす活動のサポートを行い、来季以降のリーグ開催に向けて尽力していくとしている。
女子プロ野球リーグは、サプリメント販売のわかさ生活(京都市)が主体となって10年に立ち上げ、一時は4チーム体制で在籍選手も71人まで増えたが、赤字経営が続いていた。19年8月には、記者会見して、チーム運営に参入する企業や団体を募るまでになっていた。
同年11月になると、約半数に当たる36人もが退団することの発表に踏み切った。「美しすぎる女子野球選手」として話題になった加藤優選手ら主力選手も含まれていたため、メディアにも大きく取り上げられた。
選手の大量退団に「それぞれの思いもあるので、分析など公表しない」
選手らの大量退団については当時、週刊文春も取り上げ、オフシーズンは選手としての月給が支払われないなどの厳しい条件提示に選手らから不満が上がり、選手らをアイドルのように売り出そうとするリーグ創設者のわかさ生活社長のやり方にも反発があったと報じた。
これに対し、わかさ生活の社長は、2020年2月8日のブログで、文春の記事は自分が独裁しているかのような事実を曲げた取り組みとは逆の内容だと反論し、自らの著書『女子プロ野球クライシス』で取り組みを紹介したと明かした。「女子プロ野球リーグを続けるのは意地を張ってるのではなく、夢の継承のバトンを次世代に繋ぎたいため」だと説明している。
今回、また大量退団が出たことになるが、日本女子プロ野球機構の担当者は3月17日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように説明した。
「選手それぞれの思いもあると思いますので、こちらの分析などは公表していません。オフシーズンは選手としての月給が支払われないというのは、事実ではないです。新型コロナウイルスの感染拡大で昨季は主に無観客試合でしたが、収入面への影響があったわけでもありません。今後の取り組みについては、内部で協議しながら進めていく予定で、詳細が決まれば公式サイトで公開したいと考えています」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)