HKT48、W選抜名「つばめ」「みずほ」の意味は? 九州新幹線の両列車にみる「歴史」と「勢い」

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   緊急事態宣言の影響で延期になっていたHKT48の新曲の発売が、2021年3月13日に改めて発表された。シングル表題曲は16人程度の「選抜メンバー」が担当するのが一般的だが、今回は計24人が選ばれた。

   今回は、24人が12人ずつの2チームに分かれて活動する「W選抜」制度を初めて採用したのが特徴。それぞれ「つばめ選抜」「みずほ選抜」と命名され、メンバーからは「特急?」「新幹線?」といった声が続出した。確かに「つばめ」も「みずほ」も九州新幹線の列車の愛称だが、元々は旧国鉄時代から活躍してきた特急列車の愛称でもある。見方によっては、昭和の伝統ある列車の系譜を令和のアイドルグループが引き継いだともいえ、そこに込められた意図も焦点になりそうだ。

  • HKT48の新曲の選抜メンバー。今回は24人が選ばれた(c)Mercury
    HKT48の新曲の選抜メンバー。今回は24人が選ばれた(c)Mercury
  • 「つばめ」に使用される800系電車
    「つばめ」に使用される800系電車
  • 「みずほ」に使用されるN700系電車
    「みずほ」に使用されるN700系電車
  • HKT48の新曲の選抜メンバー。今回は24人が選ばれた(c)Mercury
  • 「つばめ」に使用される800系電車
  • 「みずほ」に使用されるN700系電車

「特急?」「勢いすごいね」「乗り物ですよね?新幹線っぽい感じがするけど」

   HKT48が新曲をリリースするのは20年4月発売の「3−2」(さんひくに)以来、約1年ぶり。20年12月31日の劇場公演で21年3月10日の発売が発表されていたが、緊急事態宣言の再発令を受けて、1月13日に発売延期が発表されていた。新たな発売日は5月12日。西日本シティ銀行HKT48劇場(福岡市)から配信された動画番組で、メンバーが見守る中で発表された。

   2チームは「HKTの歴史を2つに分けたときのチーム」で、前者は1期生(11年デビュー)、2期生(12年デビュー)、3期生(13年デビュー)、ドラフト2期生(15年デビュー)までの世代で構成。後者はそれ以降に加入した4期生(16年デビュー)、ドラフト3期生(18年デビュー)、5期生(18年デビュー)によるチームだ。それぞれのチーム名が「つばめ選抜」「みずほ選抜」だと明かされると、メンバーからは

「つばめ?新幹線?」
「特急?」
「勢いすごいね」
「乗り物ですよね?新幹線っぽい感じがするけど」

といった声が次々にあがった。

   「つばめ選抜」のセンターポジションを担当するのは3期生の田中美久さん(19)。「早送りカレンダー」(18年発売)で矢吹奈子さん(19=IZ*ONE専任活動中)とダブルセンタだったことはあるが、単独センターは初めて。

   田中さんは驚いた様子で

「つばめ?まったく予測してなかった」

と話した。「みずほ選抜」センターは4期生の運上弘菜さん(22)が担当。前作からの続投だ。運上さんは、過去のHKT48のユニット名に「幸せDAパンケーキ」「やっぱりみたらし団子」(ともに18年)といった奇抜なものがあったことを念頭に、

「また『みたらし団子』とか『パンケーキ』とか、おいしそうなものになると思っていたので、(「みずほ」は)響きがすごく良くて楽しみ」

と期待を寄せた。

5代目「つばめ」と2代目「みずほ」を比較すると...

   メンバーが指摘するように、「つばめ」「みずほ」は、九州新幹線を走る列車の愛称だ。「つばめ」は博多~鹿児島中央を結ぶ各駅停車、「みずほ」は新大阪~鹿児島中央を結び、停車駅が少ないタイプだ。その意味では「みずほ」が「優等列車」だが、両列車の系譜をたどると、印象は変わってくる。

   「つばめ」は、1930年に東京~神戸間で運行を始めた特急「燕」がルーツ。従来よりも所要時間を2時間以上も短縮したことから「超特急」として人気を集めたが、戦局が厳しくなって1943年にいったん廃止された(初代)。名称が復活したのは戦後の50年、前年の49年に東京~大阪で運行が始まった特急「へいわ」の愛称を変更する形で「つばめ」が登場した(2代目)。64年の東海道新幹線開業後は主に関西と九州を結ぶ特急として活躍。山陽新幹線が博多まで開通する75年まで走った(3代目)。

   「つばめ=九州の列車」というイメージが定着したのは92年に登場した4代目からだ。主に博多~西鹿児島(現・鹿児島中央)を結んでいた「有明」を、最新鋭の787系電車のお目見えに合わせる形で「つばめ」に改称した。2004年に九州新幹線が新八代~鹿児島中央で部分開業。その際に登場した800系電車に5代目として「つばめ」の名前を引き継ぎ、11年の全線(博多~鹿児島中央)開業を経て今に至る。

   「みずほ」は、1961年に東京~熊本を結ぶ寝台列車として登場。多くの時期を、いわゆる「ブルートレイン」として活躍し、一時期は一部を分割して大分や長崎に向かう編成もあった。その後ブルートレインの乗客が減少した影響で、94年に廃止された。2011年の九州新幹線全線開業で、17年ぶりに名称が復活した。

   こういった経緯を総合すると、「つばめ」の方が歴史的に格上だが、「みずほ」の方が今は勢いがある、といった状況だといえそうだ。

10周年記念イベントでは「列車」「星空」にちなむ楽曲を披露

   JR九州とHKT48の結びつきは強い。20年8月には、JR九州が新型コロナや豪雨被害で苦境に立つ観光地を盛り上げるようと立ち上げたキャンペーン「みんなの九州プロジェクト」にHKT48を起用。メンバーが出身県の駅で「1日駅長」を務めたり、駅や車内の広告に登場したりした。

   21年3月14日に九州新幹線全線開業10周年を記念して行われた、800系電車が七色の光を放ちながら走る「流れ星新幹線」イベントでは、主に車両がトンネルを通過する時間帯にHKT48が中継で登場。「列車」や「星空」にちなむ楽曲を次々に披露した。キャンペーン期間は21年3月末までだが、今回の選抜発表で、それ以降の展開を示唆したともいえそうだ。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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