プロ野球阪神の藤浪晋太郎投手(26)が2021年3月26日のヤクルト戦で開幕投手を務めることが2021年3月8日に決まった。
矢野燿大監督(52)が藤浪本人に通達したことを明かした。昨シーズン1勝の右腕を開幕投手に抜擢するのは異例のことで、藤浪はプロ9年目にして初の大役となり、開幕戦の大舞台で復活のノロシを上げる。
西の代役ならば、青柳、秋山らも考えられたが...
阪神の開幕投手は当初、エース西勇輝投手(30)が本命視されていた。キャンプではぜんそくの症状が続いて2月下旬に途中離脱したものの、3月3日の全体練習に合流。5日のソフトバンク戦で2回を無失点に抑え、順調な仕上がりぶりを見せていただけに「開幕・藤浪」の衝撃は大きかった。
スポーツ紙などの報道によると矢野監督は藤浪を開幕投手に抜擢した理由について「総合的にいろいろと考えた結果」と語ったという。西の代役ならば、青柳晃洋投手(27)、秋山拓巳投手(29)らも選択肢として考えられたが、なぜ藤浪だったのだろうか。
在阪メディアで阪神を取材する関係者は、今回の「藤浪・開幕」抜擢は矢野監督の「覚悟」の表れだと言う。
「リーグ優勝するために藤浪は絶対に欠かせないピースのひとつ。藤浪の活躍なしでは巨人との差は決して埋まらない。藤浪にも矢野監督の気持ちは伝わっているだろうし、チーム全体に伝わっていると思う。過去の実績があるとはいえ、この2年間で1勝しかしていない投手にシーズンの初戦を任せるというのは相当な覚悟がいる。もしかしたら矢野監督のなかでは藤浪以外の選択肢はなかったのかもしれません」
「何かが動き出したと感じさせる起用だと」
矢野監督の大きな期待がかかる一方で不安視されるのが、ヤクルト戦での過去の因縁だ。
17年4月4日のヤクルト戦で藤浪の直球が畠山和洋選手の左肩付近に当たり乱闘騒ぎに。当時、バッテリーコーチを務めていた矢野監督が退場処分を受ける騒動に発展した。以降、ヤクルトは藤浪対策として右打者を外して左打者を並べるなど過度に警戒してきた。
前出の在阪メディア関係者は「藤浪にとってヤクルトとの開幕戦は自分の中でも意味のあるものだと思います。不安はあると思いますが、開幕戦を乗り越えれば精神的にも乗ってくるでしょう。矢野監督もそこに期待していると思う。阪神ファンは藤浪の開幕戦起用に納得しているのではないでしょうか。何かが動き出したと感じさせる起用だと思います」と語った。