飛行機では定番サービスだった機内オーディオサービスが、歴史的使命を終えようとしている。2021年4月から日本航空(JAL)が国内線でサービスをやめ、全日空(ANA)も大幅に縮小する。
背景にはスマートフォンやiPadをはじめとするタブレット端末の普及がある。機内無線LAN(Wi-fi)を利用して配信するコンテンツを充実させ、乗客が持ち込んだ端末で楽しむスタイルへの移行が本格化する。
1972年8月、羽田-那覇便のボーイング747型機に初搭載
JAL広報部によると、同社の国内線にオーディオシステムの設備がお目見えしたのは1972年8月。羽田-那覇線を飛んでいたボーイング747型機に搭載された。これを使った実際のオーディオサービスが開始された時期は明らかではないが、おおむね同時期だとみられ、21年4月で50年近い歴史に幕を下ろすことになる。
21年3月時点で提供されているのは8番組。そのうち、JALが1967年からスポンサーを続けている、民放FMの最長寿番組「ジェットストリーム」(TOKYO FM)の再編集版や、落語や漫談を公開収録した「JAL名人会」が有名だ。これに加えて、ボーイング777型機とボーイング767型機の一部では、NHKのラジオ第1放送も聞くことができる。かつては電子機器のスイッチを切るように求められていた機内で、地上情報をリアルタイムで知ることができる唯一といってもいい手段だった。