「横須賀市保健所に照会した際には、特に指摘はなかった」
久里浜医療センターの事務部企画課担当者は12日、「ゲーム依存症」を記載した理由と看板を差し替えた理由について合わせて文書でこう回答した(回答は原文ママ)。
「『ゲーム依存症』は、厚労省より発出された依存症対策全国拠点機関設置運営事業実施要綱にすでに収載されている。そのため、当センターの看板にも使用した。 しかし、依存症対策全国センターのロゴはまで変えておらず、そこには『ゲーム依存症』が入っていないため、現行のロゴに復帰させた」
また「ゲーム依存症」について、厚生労働省は「ICDでも診断のマニュアルなどは策定されていない」、「確定的な治療方法は承知していない」と回答したが、久里浜医療センターとしてはこう考えているという。
「・いわゆる『ゲーム依存症』とは、ゲーム障害(症)と同じ概念である。
・ゲーム障害とは、世界共通の診断基準である WHO の国際疾病分類第 11 版(ICD-11)に収載された精神疾患の一つである。
・また、ゲーム障害が ICD-11 に収載される前には、2013 年アメリカ精神医学会が、インターネットゲーム障害の予備的診断基準をすでに公表している。
・特にこの公表以後、ゲーム障害に関する治療研究が海外で行われ、その有効性に関する論文が公表されている。
・当センターにおいては、2014 年より文部科学省の委託を受けた国立青少年教育振興機構とネット依存に対するキャンププログラムを共催し、その有効性について、すでに英文の論文で公表している。また、ゲーム障害の治療法の開発とその有効性についても研究を行っている。
・当院での新規外来患者の予約状況から、わが国には、治療を必要としているゲーム障害患者が多数存在していると推察され、我々が行った 2020 年秋の調査によれば、わが国には当センターも含めてゲーム障害に対する専門治療を提供している医療機関が少なくとも 89 存在し、その数は年々増えている。また、子どものゲームの過剰使用や対応法等について、家族や教育機関から、当院や精神保健福祉センター等の専門機関に、数多くの相談が寄せられている。
・当センターはこの喫緊のニーズに対応することが重要と考えている」
そのうえで「京急品川駅への掲載時に業者を通じて横須賀市保健所に照会した際には、特に指摘はなかったとの事である」と述べた。
これについて12日、再び横須賀市の担当者に確認した。担当者は、業者を通して指示が伝わっていなかったのではないかと考察する。また当該広告について、「現在、厚生労働省に問い合わせを行っております。見解次第では、指導を検討いたします」と現況を明かした。
(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)