神奈川県内のJR東海道線で2021年3月11日、小田原―新宿間を結ぶ「おはようライナー新宿26号」が、鉄道敷地内への人の立ち入りのため緊急停車したが、「カメラで撮っている人が線路にいた」といった内容の車内アナウンスが流れたと、ツイッターへの投稿が相次いだ。
「おはようライナー」などが12日に運行終了となるため、撮り鉄が線路に立ち入ったのではとの憶測も流れている。真相ははっきりしないが、JRでは、運行終了を前に撮影マナーを守るようSNSで呼びかけており、ピリピリしている様子だ。
「撮影で線路立ち入り」といった内容のアナウンスが流れたと報告続々
「東海道線急停車したぞ」「平塚駅付近で線路立ち入りだあ? この時間帯に超迷惑だわー」「カメラ撮ってる人が...。とのこと」「撮り鉄かな?」...
3月11日朝8時前ごろ、ツイッター上では、こんな投稿が相次ぎ、ラッシュ時だけに困惑する声が漏れた。
非公式の鉄道運行情報アカウントでも、同様の内容がツイートされ、いくつかのまとめサイトでも取り上げられる騒ぎになった。
JR東日本横浜支社の広報室にJ-CASTニュースが取材で聞いたところによると、小田原発新宿行のライナーが11日7時52分、大磯―平塚両駅間で、鉄道敷地内への人の立ち入りを受けて、緊急停車した。ライナーは、現場に9分ほど停車し、人の立ち去りを確認したため運転を再開した。この停車で、東海道線は、上下線で一部の電車に5分前後の遅れが出ている。
人の立ち入りでは、カメラで撮っている人が線路にいたという情報は、広報室には来ていないという。
停車したライナーは、広報室によると、運行終了と命運を共にする「185系」の車両だった。
185系は、1981年に運行を始め、現在は東海道線の特急「踊り子」や「湘南ライナー」などとして運行している。しかし、老朽化のため、ダイヤ改定前日の12日に、40年にわたった定期運行を終える予定だ。
ホームで立ち入り禁止や駅員が下がれと怒鳴ったとの情報も
国鉄時代の名残りもある185系の人気にあやかって、引退を記念したCDや弁当などもいくつかの会社から売り出された。JR東日本でも、「メモリアル185」と題した特設サイトやツイッターアカウントを作って、記念グッズ販売を紹介したりウェブ写真展を開いたりしている。
ところが、人気が過熱すると、行き先表示幕や号車札といった185系車両の備品が2020年末ごろから次々に紛失し、盗みの疑いもあるとして、JR東日本が警察に被害届を出したとも報じられた。
また、JR東京駅ホームで、立ち入り禁止エリアが設けられ、185系対策ではないかと指摘されたり、JR熱海駅ホームに185系狙いの撮り鉄が集結し、駅員が下がれと怒鳴る様子がツイートされたりもしていた。
JR側も、185系のラストランを前に神経を尖らせており、JR東日本横浜支社は3月10日、フェイスブックで「特急『踊り子』などの写真撮影をするみなさまへのお願い」と題したお知らせを出した。
そこでは、「沿線では、線路などの鉄道用地や私有地に入っての撮影は絶対におやめください」と訴えた。また、安全確保のため、駅構内の混雑状況によっては、撮影について制限したり、係員が撮影についての注意や案内をしたりすることがあると警告している。
そのうえで、緊急事態宣言下で、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため密にならないよう配慮し、「駅や沿線で撮影する際はマナーを守り、安全に撮影をお願いいたします」と呼びかけている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)