プロ野球の開幕まで1か月を切る中、巨人・小林誠司の「トレード話」がメディアを賑わせている。
なぜ、小林のトレード話が取り沙汰されるのか。その理由について、スポーツ紙の巨人担当記者は次のように語る。
「先日発表された田口麗斗と広岡大志の交換トレードのインパクトが大きい。昨年のシーズン途中も沢村拓一がトレードでロッテに移籍している。巨人がトレードに積極的なのは、原監督が選手個々の限られた野球人生を思いやってのことです。
実績はあってもチーム事情を考えると出場機会が限られ、他球団に移籍した方が輝く可能性がある。沢村、田口はその典型的な例です。そうなると、小林も自然とトレードが囁かれる状況になる」
日ハム・楽天がトレード候補?
確かに小林の置かれた立場は微妙だ。
16年から4年連続リーグトップの盗塁阻止率をマークするなど正捕手として活躍してきたが、原監督が就任した19年以降は出場機会を減らしている。16年から3年連続100試合以上出場していたが、19年は92試合出場。昨年は左尺骨骨折、右手示指末節骨骨折と度重なる故障に見舞われてわずか10試合の出場にとどまった。
打撃に定評のある大城卓三がチームトップの71試合のスタメンマスクをかぶり、ベテランの炭谷銀仁朗、攻守で成長著しく、「近未来の正捕手」の呼び声高い岸田行倫も控えている。開幕マスクどころか、1軍も保証されていない小林はオープン戦で結果が求められている。
打撃は課題だが、球界屈指の強肩で投手陣の信頼は厚い。巨人では正捕手をつかみきれない小林だが、他球団の評価は高い。特に正捕手が固定できていない日本ハム、楽天は主力を放出して出血覚悟でも欲しい選手だろう。ただ見合う選手がいるだろうか。
巨人の補強ポイントを考えると...
スポーツ紙記者はこう分析する。
「巨人で補強ポイントはレギュラーが固まらない一、二塁を守れる選手とリリーバーですね。昨年まで守護神を務め、今年はセットアッパーとして計算していたデラロサが左足小指骨折で戦線離脱したのは大きな痛手です。
日本ハムの秋吉亮はヤクルト時代にセットアッパーとして長年活躍していた実績があるので、巨人はトレードで獲得を検討する価値が十分にある。あとは楽天の銀次ですね。楽天一筋のプロ16年目で1150安打と実績十分ですが、昨年はロッテからFA移籍した鈴木大地、新人の小深田大地の活躍で88試合出場と大幅に減らしている。
楽天もトレードに積極的で、昨年のシーズン途中に巨人と2件成立している。可能性は十分にあると思います」。
グラウンド外の話題で注目されるのは小林にとって本意でないかもしれないが、それだけの実力者である証だ。巨人で正捕手を奪回するか、それとも――。