女性は主婦業を追求した方が「人間としての価値高い」? IIJ会長の寄稿、「不適切」と一部削除の日経に理由を聞いた

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   「女性が昔ながらの主婦業を徹底して追求した方が、難しい仕事だし、人間としての価値も高い」――。

   日本経済新聞社は2021年3月2日、格安スマホサービス「IIJmio」を展開するIT大手「インターネットイニシアティブ(IIJ)」の鈴木幸一会長(74)の寄稿記事に不適切な表現があったとして、一部記述を削除した。

   日経の広報室は取材に「筆者の承諾を得て当該部分を削除しました」と答えた。

  • 日経電子版より
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男女共同参画は「目先の形だけを追求していても仕方がない」

   鈴木氏は、日経電子版の連載枠「経営者ブログ」で定期的に寄稿している。

   日経が「当該部分を削除」した記事は、3月2日配信の「重要な仕事、『家事』を忘れている」。専業主婦だった亡き母親との思い出を通じて、家事の重要性、尊さを説いている。

   削除されたとみられる部分は、「男女差別をなくすには」との見出しの段落。東京都が、審議会などの女性委員の割合を4割に引き上げる目標を掲げた一件に触れ、「それも変な話である」と疑問を呈す。

「男女を問わず、にわか知識で言葉を挿むような審議会の委員に指名されるより、女性が昔ながらの主婦業を徹底して追求した方が、難しい仕事だし、人間としての価値も高いし、日本の将来にとっても、はるかに重要なことではないかと、そんなことを思うのだが、口にしようものなら、徹底批判されそうである。本当の男女差別をなくそうということであれば、目先の形だけを追求していても仕方がない気もするのだが」

   記事は、3月2日午後に「一部不適切な表現があり、筆者の承諾を得て当該部分を削除しました」と追記され、一部記述が削除された。

   寄稿記事の配信後、同日中に日経が「当該部分を削除」するまでの間に、ツイッターでは記事のスクリーンショット(スクショ)や引用を投稿して批判する人も相次いでいた。日経電子版の該当記事を3日に確認すると、記事配信は2日の未明2時で、同日15時38分に「更新」したと記録されている。上記で紹介した「女性が昔ながらの主婦業を」などの部分は3日現在見当たらない。

日経「筆者とのやりとりや編集判断に関するご質問にはお答えできません」

   また、鈴木氏は2月16日の寄稿記事「そのうちモーツァルトも上演禁止に」でも、自身のジェンダー観を述べていた。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗・前会長(83)の女性理事をめぐる発言に言及し、「ここまで『女性蔑視』と騒ぎ立てる話なのだろうかと思ったりする」などと持論を展開した。

   森氏については次のように評している。

「森氏が座談の名手とされている鍵は、日ごろ、多くの人が思ってはいても、建前上、言葉にしてしまうと、一斉に批判をされそうなことを、軽妙に本音ベースで語り、『本当は皆さんもそう思っているはず』という言葉が、的を突いていることが多く、『まったく』といった共感の笑いを誘って、座を盛り上げるのが、天性、巧みなのだろう」

   日本経済新聞社広報室に3日、削除した箇所や不適切と判断した理由などを質問したところ、「ご指摘の記事については一部不適切な表現があり、筆者の承諾を得て当該部分を削除しました。筆者とのやりとりや編集判断に関するご質問にはお答えできません」と答えるにとどめた。

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