小泉純一郎元首相が2021年3月1日に菅直人元首相と一緒に登壇した記者会見は、大半が脱原発に関する話題で占められたが、数少ない例外がイラク戦争に関する問題だ。
小泉氏は首相在任時の03年、米国の開戦直後に支持を表明。米国は、イラクが大量破壊兵器を隠し持っている「証拠」があるとして開戦に踏み切ったが、イラク戦争後の捜索では大量破壊兵器は発見されなかった。当時の日本の意思決定について現時点での考えを求められた小泉氏は、「イラクが査察を認めていれば戦争は起こらなかった」と主張。日本政府の意思決定への評価は避け、「戦争をいかに回避していくかということは、国際社会、これからも一番大事なことだと思いますけどね」と述べた。
「イラクが査察を認めていれば戦争は起こらなかったんですよ」
イラク戦争では、米国が03年3月19日(米東部時間)に英国などとともに「イラクの自由作戦」を開始し、開戦に踏み切った。小泉氏は翌3月20日(日本時間)に記者会見を開き、査察に協力すべきだとする国連決議をイラクが無視したことを指摘し、
「私はこの際、そういう思いから米国の武力行使開始を理解し、支持いたします」
と述べていた。
今回の特派員協会での記者会見では、大量破壊兵器が発見されなかったことを踏まえて、当時の日本政府の意思決定についての現時点での考えを問う質問が出た。小泉氏は
「一般的にいうと『なんで米国はイラク戦争を始めたんだ』という非難、批判があったのは分かる。しかしね、イラクが査察を認めていれば戦争は起こらなかったんですよ。なんで査察を認めなかったのか。隠してると思ったんだろ、米国は。結果、大量破壊兵器はなかったんだけど。イラクが査察を認めれば、国連でも決議してるんだから、受け入れれば戦争は起こらなかった」
と話し、開戦の責任はイラク側にあると主張。その上で、
「そういうことがあるから、やっぱり色々な事情、考えなきゃいけない。これからの世界をどうやって平和にしていくか。無駄な戦争、無駄でない戦争なんかないと思うけど、戦争をいかに回避していくかということは、国際社会、これからも一番大事なことだと思いますけどね」
と話した。