プロ野球の中日・根尾昂(20)の打撃が好調だ。
高卒3年目の今季は遊撃での定位置奪取を誓い、練習試合7試合で22打数7安打2打点、打率.318。25日の巨人戦(那覇)でも、5回1死二塁で左腕の髙橋優貴から右前適時打を放っている。
立浪臨時コーチの指導もプラスに
大阪桐蔭で2年春、3年春、夏と主力として全国制覇を達成。4球団がドラフト1位で競合して中日に入団した。黄金ルーキーは入団以降、一挙手一投足が注目されてきたが、試行錯誤の日々が続いている。
2年目の昨季は8月11日の広島戦(マツダ)で9回にD.J.ジョンソンからプロ初安打を放ったが、9試合出場で打率.087、0本塁打。1軍の一線級で活躍する投手たちには対応できなかった。直球は引っ張れずに差し込まれ、変化球もファウルでカットできずに空を切る。
ただ、根尾が伸び悩んでいるかといえば、決してそうではない。同じ高卒で入団し、主力に成長した選手たちと比べても、高橋周平は1軍でレギュラーを獲得するのに7年、平田良介も6年の歳月を要している。
今春のキャンプでは同じ左打者で根尾が憧れた中日OB・立浪和義臨時コーチの指導を受けている。立浪臨時コーチの手腕は高く、根尾にとっても大きなプラスアルファになるだろう。実戦で安打を重ねるなど結果も出している。
「スイングが鋭くなりました」
他球団のスコアラーは根尾をどう分析しているのだろうか。実戦を視察したスコアラーはこう語った。
「スイングが鋭くなりましたよね。立浪さんの指導もあると思いますが、タイミングの取り方が上手になり、インパクトの瞬間に力が伝わる打撃になっている。逆方向にも打球が飛ぶようになったのがその証です」
根尾の成長ぶりを認めたが、こう続けた。
「ただ、遊撃のレギュラーという観点で言えば京田(陽太)でしょう。根尾は遊撃の守備で京田にまだまだ劣る。打撃で勝負したいところですが、京田を圧倒するほどではない。春季キャンプの練習試合でも数字は出ていますが、打ち損じが安打になったケースが少なくない。
もちろん本人は遊撃のレギュラーを狙うつもりでやっていると思うけど、まだ高卒3年目。遊撃を軸にしながら二塁、外野もできるようにすれば出場機会は増えると思います」
球界全体を見渡すと、坂本勇人が高卒2年目、山田哲人が3年目、筒香嘉智が5年目でレギュラーをつかんでいる。
山田は遊撃で入団したが、送球難で二塁にコンバートされて大ブレーク。筒香は3年目の12年に108試合出場したが、翌13年は23試合出場にとどまるなど紆余曲折を経て、球界を代表する強打者に成長した。
高橋周や平田を含めてプロで活躍する選手たちは高卒3年目に1軍で「爪痕」を残している。根尾はどんなシーズンになるだろうか。