「西野があなたを意識する権」に1万円を払う人は何を考えているのか 心理学博士に聞いた

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   西野が貴方のことを明らかに意識して、感謝し倒します――。

   映画化もされた絵本「えんとつ町のプペル」の作者である、お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣さんが、かつて募集したクラウドファンディングのリターン内容が改めて注目を集めている。

   「西野があなたを意識する権」と称したもので、1万円という価格設定だったが、なんと123人のユーザーが支援しているのだ。

   意識してもらうだけなのに、なぜここまで売れたのか。購入者の心理を、心理学博士に分析してもらった。

  • 西野亮廣さん(2016年撮影)
    西野亮廣さん(2016年撮影)
  • 「西野があなたを意識する権」の詳細(シルクハットより)
    「西野があなたを意識する権」の詳細(シルクハットより)
  • 西野亮廣さん(2016年撮影)
  • 「西野があなたを意識する権」の詳細(シルクハットより)

「なんだよこれ・・・」「VTuberのスパチャとあんま変わらん」

   話題になっているのは、西野さんがかつて所属した吉本興業のクラウドファンディングサイト「シルクハット」で、2020年2月まで募集していたクラウドファンディング。「映画『えんとつ町のプペル』の主題歌のカバー曲を、もの凄いクオリティーで作りたい!」という趣旨で、合計で約940万円の支援が集まった。

   具体的な支援のリターンとしては、500円の「真っ直ぐ目を見て御礼」(127人が支援)から、11万円の「絵本『えんとつ町のプペル』×50冊セット(サイン入り)」(6人)まで、様々なラインアップを揃えていた。中でも異彩を放っていたのが、1万円で支援可能な「西野があなたを意識する権」。内容は、次の通りだ。

「このリターン購入してくださった貴方の名前をマジマジと見て、『ああ。○○さんが支援してくださったんだぁ』と西野が貴方のことを明らかに意識して、感謝し倒します。そして、貴方が困った時は対面時に本気で相談にのります!」

   現在は終了しているクラウドファンディングだが、ここでは123人ものユーザーが「意識する権」を購入。単純計算で123万円が売れたことになる。

   西野さんと言えば、絵本「えんとつ町のプペル」の作風や、その人生観、ビジネス観に感化された熱烈なファンがいることで知られる。20年12月公開の映画「えんとつ町のプペル」でも、何度も同じ作品を映画館に見に行くという意味で「〇〇プペしてきた」(〇は回数)とSNS上で報告する人が少なくない。

   この「意識する権」の存在は、プペルの映画公開などもあって、21年2月中旬ごろになって改めて話題に。購入者に対しては「意味わからん」「なんだよこれ・・・」とネット上で疑問の声が続出。一方で、「VTuberのスパチャ(投げ銭)とあんま変わらんやん」「アイドルさんの課金構造だよね」と、理解を示す意見もあった。

専門家「宝くじの購入動機と似ている」

   一体なぜ、ここまで「西野があなたを意識する権」を買う人が生まれたのか。

   J-CASTニュースが2月25日、心理学博士で経営コンサルタントの鈴木丈織さんに話を聞くと、購入者には主に2つのパターンがあったのではないか、と分析した。

「一つは、これまで1:多数だった作家とファンとの関係性が、権利を購入すれば作家と自分の1:1の関係性に変わるかもしれない、という点です。お互いがお互いを意識するとき、他者の邪魔は入りません。遠い存在だった『憧れの作家』と結ばれる。それを堪能するのに、1万円という価格は高くない金額だといえます」
「もう一つは『買っておいてもいいかな?』という軽い気持ちです。権利を買えば、憧れの西野さんと会えるかもしれない。会話ができるかもしれない。うまくいけば、作品に登場できるかもしれない。仮にそれらが実現できなくても、1万円で『夢』を持つことができる。ある意味、宝くじの購入動機と似ているかもしれません」

   また、リターンの説明文にあった「貴方が困った時は対面時に本気で相談にのります!」という内容も「十分な購買動機になり得る」と話す。

   その一方で、「購入者のことをどの程度『意識』するかは、あくまでも販売した作家さんの主観による」とし、「ただ1万円を払っただけでは、西野さんが『常に意識』しているような存在にまで到達するのは、難しいのではないか」と分析した。

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