東京五輪・パラリンピックの「ボランティア問題」が波紋を広げている。
組織委員会は2021年2月24日、森喜朗前会長(83)の女性蔑視発言後の4日から23日までに大会ボランティア約1000人が辞退したことを発表した。辞退者の数は予定している約8万人の大会ボランティアの約1.25%にあたり、森前会長が辞任した12日(740人)から約260人増えた。組織委員会は大会運営に支障がないと見ているようだが、現場からは不安の声が広がっている。
「事態が落ち着くことを願っていますが...」
森前会長が女性蔑視発言で謝罪会見を行ったのが2月4日。森前会長は会見の場で自身の発言について謝罪、撤回したものの批判の声は強まる一方で12日に辞任を表明した。大会ボランティアの辞退者は12日時点で740人にのぼり、ここから10日あまりで約260人の辞退者が出たことになる。
数字的には約1000人の辞退者は全体の大会ボランティアの約1.25%に過ぎないが、大会開幕を約5カ月後に控え、現場では辞退者増加の傾向を深刻に受けて止めている。J-CASTニュース編集部は複数の大会関係者に話を聞いた。
大会関係者のひとりは「数は少ないかもしれませんが、ボランティアの方々のなかから辞退者が続いているのは事実ですし、これからも増えていくかもしれない。橋本さんが新会長になったことで事態が落ち着くことを願っていますが、決して楽観視していません。現時点で大会運営に支障がないかもしれませんが、これからどうなるか不安はあります」と語った。
「ボランティアを辞退する人数が減らないのが問題」
また、別の大会関係者は「組織委員会の幹部はもっと危機感を持つべきだ。ボランティアの辞退者がいかなる理由で辞退したのかは分かりませんが、この状況を深刻に受け止めるべきだと思います。大会運営に支障があるとかないとかの問題でなく、ボランティアを辞退する人数が減らないのが問題だと思います」と持論を展開した。
森前会長の後を受けた橋本聖子会長(56)は24日、国際オリンピック委員会(IOC)理事会にオンラインで参加し、男女平等の推進チームを設置することなどを報告。新型コロナウイルス感染症対策にも積極的に取り組む姿勢を見せ、東京五輪・パラリンピックのニューリーダーとして精力的に活動している。
橋本新体制のもと動き始めた東京五輪・パラリンピック。IOCのトーマス・バッハ会長は今回の会長交代劇について「円滑な交代が行われた」と語ったという。約5カ月後に大会開幕が迫るなか、大会ボランティアの辞退者に歯止めはかかるのか。五輪聖火リレーは3月25日に福島県・ナショナルトレーニングセンターJヴィレッジを出発する。