「1か国のためにルールを...」外相発言の真意
他方、米国の混乱のスキを突くように、中国が動いた。20年11月、習近平主席がTPPへの参加を「積極的に考える」と表明した。中国がにわかにTPPの厳しい条件を受け入れるのは難しいとみられるが、米国の方針が定まる前に手を挙げ、加入交渉で有利な条件を引き出したいとの思惑との見方が一般的だ。
そのほか、韓国、台湾、タイも参加に関心を示すなど、英国の加入申請を含め、動きがあわただしくなっている。
英国の申請を受け、茂木俊充外相は
「1か国のためにルールを変えることにはならない」
と、くぎを刺したが、英国との交渉より、むしろ中国を意識しての発言とみられる。
通商関係者は「英国との交渉で、厳しい条件をきちんと受け入れてもらい、中国に対して、TPP参加には高いハードルを越える必要があるというメッセージを打ち出したい」と話している。