英TPP加入で中国にも影響?
英国が加われば、TPP加盟国の国内総生産(GDP)が世界のGDPに占める比率は現状の13%から16%超に高まる。
規模拡大効果は限定的だが、欧州からの参加は「高いレベルの国際貿易・投資ルールを、アジア太平洋を越えて広げる第一歩」(西村経済再生相)であり、日本としては、トランプ政権時代に世界的に後退した自由貿易の機運を再び盛り上げるきっかけと期待。さらに、米国の復帰に向けた呼び水にしたい考えだ。
英国にとっては、欧州連合(EU)から2020年末に完全に離脱し、EU外と自由に通商交渉できるようになったばかりで、21年1月に発効した日英包括的経済連携協定(EPA)とともに、EU離脱のメリットを国民に分かりやすく示す目玉政策となる。
同時に、中国をにらんだ思惑も指摘される。
そもそも、TPPは米オバマ政権時代、日米を中心に、高い自由化を掲げ、計画経済、統制経済が色濃く残る中国を牽制することも狙って合意した経緯がある。
関税引き下げや、外国企業の活動への介入の規制など高い目標を中国に突き付けることで、中国が受け入れれば中国の経済改革を進められるし、受け入れなければASEANなど他のアジア諸国との関係で中国に対して日米が優位に立てる――という狙いだった。
ところが、その後、状況は一変した。2国間協議による「取引」を重視したトランプ政権がTPPを離脱し、後を継いだバイデン政権も、「自由貿易で国内の雇用が奪われた」という声が国内で根強いことから、TPP復帰には当面、消極的とされる。