【解説】英国参加でTPPは何がどう変わるのか アメリカ・中国への影響を読み解く

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   英国が環太平洋経済連携協定(TPP)への加入を正式に申請した。発足11か国以外の国の申請第1号で、認められれば、アジア太平洋地域外から初の参加となる。

   中国、韓国、タイなども加入に意欲を見せており、英国との交渉は今後のTPP拡大の試金石になる。

  • 英国のTPP加入申請でどんな影響が?
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加入交渉は長引く可能性も

   2021年2月1日、加入を申請した英国のトラス国際貿易相は、TPP議長国である日本の西村康稔経済再生相らとテレビ会議を開いた。

   席上で西村氏は「TPPのハイスタンダードでバランスの取れた21世紀型の共通ルールを世界に広めていくことが参加国共通の思いだ」と述べ、英国の申請を歓迎。トラス氏は「世界で最も急成長している地域と結びつきが深まる」と期待を示した。

   TPPは、域内の関税撤廃・削減や投資の共通ルール策定などを行う協定。最終的な関税撤廃率は95~100%と高いうえ、知的財産の保護など広い範囲をカバー。例えばデジタル分野でソフトウエアの「ソースコード(設計図)」の開示を求めることを禁止し、巨大ITなど多国籍企業の活動への進出先の政府の介入を防ぐ内容を含む。

   日中韓豪や東南アジア諸国連合(ASEAN)などが参加する自由貿易圏「地域的な包括的経済連携(RCEP)」の関税撤廃率が平均91%にとどまるのに比べ、「TPPは通商・投資ルールとしての水準が高い」(経産省筋)とされる。

   TPPはもともと、シンガポールやニュージーランドなど4か国の協定をベースに交渉国を拡大し、日米豪、カナダ、マレーシアなどアジア太平洋地域の12か国で15年10月に合意した。しかし、米トランプ政権が「米国第一」を掲げて17年1月に離脱したため、18年末に11か国の「TPP11」として発効した。

   今回の英国の申請を全批准国が認めれば、作業部会が設けられる。英国は他の参加国とも非公式に接触しており、今春にも交渉に入りたい考え。11か国は概ね加入を歓迎する見通しだが、関税やルールなどの交渉は「数か月レベルでは終わらない」(日英通商筋)との見方が強く、長引く可能性もある。

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