東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドが2021年2月18日、一時前日終値比2.5%(460円)高の1万8640円まで上昇し、株式分割考慮後の上場来高値を更新。22日現在も好調を維持している。
富士急ハイランド(山梨県富士吉田市)を運営する富士急行も同じ18日に上場来高値を更新。投資先の物色が続く株式市場において、ワクチンの接種開始を踏まえ、コロナ後の成長を見込んだ買いが両社の株価を押し上げている。
ゲスト単価の上昇と経費削減
オリエンタルランドは1月28日発表の2021年10~12月期連結決算が4四半期ぶりの最終黒字となったあたりから、株価上昇の勢いが強くなっていた。
通常なら同時に発表した4~12月期や通期業績予想の動向にも投資家の注目が集まるが、コロナ禍で従来とは違う情勢が続くなか、3か月ベースの四半期決算がより重要になっている。それではその内容を見てみよう。
売上高は前年同期比45.0%減の779億円、営業利益は89.2%減の43億円、最終利益は95.1%減の13億円だった。大幅減益とはいえ、営業黒字となったのも2019年10~12月期以来、4四半期ぶりだ。
入場制限の緩和が進むなかで入園者が回復、またゲスト1人当たりの単価が上昇した。一方で人件費や商品原価。その他諸経費の削減が進んだ。株式市場はこれを高く評価、国内3大証券や海外系証券各社の目標株価が次々に引き上げられた。
「迅速な企業努力を高く評価する」
さっそく1月28日にオリエンタルランドの目標株価を1万8800円から1万9100円に引き上げたのが野村証券。10~12月期は51億円の営業赤字と予想していた野村にはサプライズとなったようだ。
「オペレーションの効率化、ゲストの満足性及び安全性の向上、単価の引き上げなど、迅速な企業努力を高く評価する」「ポジティブな決算だった」と記した。ただ、1~3月期は緊急事態宣言の再発令によって入場制限を強化しているため、野村としては197億円の営業赤字を予想している。
目標株価を2月8日に1万4500円から1万5600円に引き上げたSMBC日興証券も「オペレーション効率化によるコスト抑制などが確認された良好な決算」と評価し、
「(1月以降再び入場制限を強化するなど)コロナ前までの回復には時間を要するが、中期成長期待は変わらない」
「年度末に発表されるとみられる中期戦略、特にゲスト単価向上策やデジタル戦略に注目したい」
と成長力への期待を示した。
富士急行も2月3日発表の2020年10~12月期連結決算で最終黒字を確保した。こちらは「GoToトラベル」の恩恵があったとはいえ、黒字を市場は評価している。1月以降は「GoToトラベル」停止と緊急事態宣言の影響を受けるが、テーマパーク銘柄としてオリエンタルランドと同様の値動きをすることが多く、投資家の買いを集めたようだ。