電気を取り出せる「安心感」を届けたい 「三菱のPHEV」が被災地に向かう理由

提供:三菱自動車

   千葉県に甚大な被害をもたらした、2019年9月の台風15号。9日早朝に千葉市付近に上陸し、関東広域で最大約93万戸が停電した。

   台風通過当初、千葉県内の被害に関する報道に対し、SNSでは「状況をもっと伝えてほしい」といった声が相次いでいた。経済産業省の資料によると、被害状況の確認や倒木の処理に時間を要したことから、復旧作業が長期化していた。

   被災者も支援者も思うように情報が得られない状況の中、少しでも被災者の助けになろうと現地に向かった人々がいる。三菱自動車の社員だ。

   彼らは三菱の「アウトランダーPHEV(プラグインハイブリッドEV)」に乗り込み、千葉県南部へ車を走らせた。そして、停電が続いていた特別養護老人ホーム・鋸南苑(鋸南町)などに泊まり込み、PHEVを利用して電力を供給した。

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三菱のPHEVは、被災地でどんな活躍を見せたのか(提供:三菱自動車)

   J-CASTニュースは、指揮を執った金子律子さん(現・グローバルセールスデベロップメント本部グローバルマーケティング企画部部長)と、ともに被災地へ向かった奥山雄一郎さん(現・国内営業本部国内地区統括部フィールドマネージャー)、鋸南苑で当時施設長を務めていた前田義夫さんを取材。

   三菱自動車の「PHEV」はなぜ被災地に向かい、どのように貢献したのか。現地で活動した2人と、支援を受けた「鋸南苑」、双方の視点から、その理由を紐解いていく。

金子さん「自治体に片っ端から連絡しました」

「千葉県で停電が続いていると聞いた時、それほど時間はかからずに復旧すると思っていました。ところが、9月10日になっても千葉方面から会社に来られる人はほとんどいませんでした。事態を重く見て、何かできることはないかと動き出したのが11日の昼過ぎです」

   被災地に向かった経緯を、金子さんはこのように回想する。

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(写真左)三菱自動車の奥山雄一郎さん、(同右)金子律子さん(J-CASTニュース撮影)
「支援をしたくても、どこに聞けばいいのかわかりません。そこで、東京電力のサイトを見ながら停電している地域を調べ、房総半島南部の自治体に片っ端から連絡しました」(金子さん)

   その日のうちに自治体からの返事はなかった。翌12日には具体的な行き先が決まらないまま、6台のPHEVと、金子さんが声をかけて集めた計12人で出発。メンバーの1人である奥山さんは「被災地の状況を思い浮かべながら、出社した時の格好で着替えも持たずに向かった」と振り返る。

「海ほたるパーキングエリアのあたりでいくつか連絡が入りました。その1つが鋸南町です。『音信不通の施設があるから行ってみて』と言われ、そこが鋸南苑でした」(金子さん)

   金子さんらが乗った6台の車は3チームに分かれ、鋸南苑には2台の車が向かったという。

「南に行くにつれ、被害が大きくなっていました。都市部は電源車や発電機を使って信号機が機能していましたが、都市部を離れると機能していません。倒木などで荒れ果てたような状態ですね。携帯電話さえもつながらず、鋸南苑へ入居されている方、ご家族の方たちも不安な気持ちになられていると思いました」(奥山さん)
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被災時の様子(提供:三菱自動車)
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