看板に偽りなし。プロ野球の新人の中で話題を独占しているのが阪神ドラフト1位の佐藤輝明だ。
プロ初の対外試合となった2021年2月9日の練習試合・日本ハム戦(宜野座)に「2番・左翼」で先発出場すると、5回に2年目右腕・鈴木健のスライダーをすくい上げて右越えアーチを放つなど猛打賞3打点の鮮烈デビュー。12日の紅白戦でも白組の「1番・右翼」で先発出場し、左腕・高橋遥人の直球に反応して右翼線を破る二塁打を放った。
開幕スタメンの可能性も十分
「高橋の直球の質は球界屈指です。三振奪取率が高く、簡単に打てる投手ではない。その直球を新人が豪快に引っ張って二塁打を打った。日本ハム戦の本塁打以上にインパクトの大きい一打で、どよめきの声が上がっていました」(スポーツ紙阪神担当記者)
近大でリーグ新記録の14本塁打をマーク。身長187センチ、体重94キロという恵まれた体格からのフルスイングはソフトバンク・柳田悠岐を彷彿とさせる。4球団が競合した逸材だが、粗削りな部分もあることから、プロのスカウト陣は「即戦力ではなく、2,3年後に大化けする可能性を秘めた長距離砲」という見方が多かった。
だが、その前評判を早くも覆そうとしている。
まだ実戦が始まったばかりで評価するのは早計だが、首脳陣の評価を高めているのはミート能力だ。フルスイングしながらもコンタクト率が高い。高橋からの一打で証明したように直球に振り遅れず、変化球もうまく拾って長打にする。このままアピールすれば、開幕スタメンの可能性は十分にある。
佐藤を一塁に回すメリット
一方で阪神OBの話題でも議論になっている懸案事項がある。佐藤のポジションだ。
本職は三塁だが、昨季打率.288、28本塁打、85打点と大きく飛躍した4番の大山悠輔がいる。俊足と強肩を買われて外野守備にも挑戦している佐藤だが、不慣れな部分は否めない。
「佐藤の三塁の守備は大山と比べても遜色ないため、『競わせてから他のポジションを考えるべきでは』という声が阪神OBから上がっています。また、チームの戦略を考えると一塁もアリです。
マルテの守備が不安定で、本職が外野のサンズを一塁で守らせる構想もありますが心許ない。佐藤が一塁で守れるところを見せれば、外野は左翼がロハスかサンズ、中堅は近本光司、右翼は糸井嘉男か高山俊という布陣になる。
天才的な打撃センスで新人王に輝いた高山は近年伸び悩んでいましたが、キャンプでは打撃フォームをマイナーチェンジして状態の良さをアピールしています。佐藤を一塁に回せば、右翼の高山と併用できるのが大きなメリットです」(前出の阪神担当記者)
佐藤の持っている潜在能力を考えれば、広い甲子園の外野で躍動する姿が一番似合うかもしれない。だが、内野にこだわりがあるなら「ポジション争いさせるべき」という提言も一理ある。
今季の開幕戦は3月26日のヤクルト戦(神宮)。あと1か月半後、佐藤はどこのポジションを守っているだろうか。
驚愕のパワー炸裂!佐藤輝が待望の実戦第1号!インコースの変化球を叩き込む!#hanshin #虎テレ #阪神タイガース #挑超頂
— 阪神タイガース (@TigersDreamlink) February 9, 2021
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