パリで「邦人が塩酸かけられた」と大使館 現地区長のツイートに注目集まる

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   フランスのパリで日本人が塩酸をかけられ、手にやけどを負う被害に遭ったと、在仏日本大使館が注意を呼びかけている。

   海外では、アシッドアタック(酸攻撃)と呼ばれているようだ。しかし、パリの地元区長は、「アシッドアタックともアジア人狙いとも確認していない」と慎重な姿勢を見せている。

  • 在仏日本大使館が注意を呼びかけ
    在仏日本大使館が注意を呼びかけ
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外務省の海外安全情報サイト上で注意喚起

   「強酸性の液体を用いた傷害事件の発生」とのタイトルで、在仏日本大使館は2021年2月13日、外務省の海外安全情報サイト上で注意喚起を行った。

   それによると、パリ17区の公共の場所で10日夕、日本人被害者が友人と3人で歩いていたところ、フードを被って下を向きながら加害者の3人組が歩いてきた。不審な感じもしていたので注意していると、うち1人が液体の入ったボトルを取り出したため、とっさに手で顔を覆ったが、いきなり顔に向けて液体をかけられた。すぐに逃げて、医者にかかると、液体は塩酸だと分かり、手にやけどをしていた。もし目などに塩酸がかかっていたら、失明など取り返しのつかないことになっていたという。

   パリ17区は、観光名所の凱旋門近くにあり、高級住宅地が広がるほか、移民が多く住む地域もある。

   注意喚起では、19年2月に、パリのメトロ内で硫酸を利用した事件があったほか、20年11月には「いわゆるアジア人狩り」があったと伝えた。最近では、21年1月15日夕に、15区の公共の場所で、14歳の少年が集団暴行で重傷を負う事件も発生しているとした。「フランスでは暴力を伴う犯罪の発生が絶えない」として、人の少ない場所・時間帯を避けて複数で移動するなど安全に注意するよう呼びかけている。

   こうした情報は、ツイッター上などで話題になり、様々な憶測も流れている。

「反アジア的な性格や攻撃に酸が含まれていることは確認されていません」

   パリ在住の作家の辻仁成さんは2月15日、こうツイートした。

「先週、パリ17区で日本人の方々が塩酸をかけられる事件がありました。この背景にある全世界的なアジア系に向けられた嫌悪暴力に特に在外邦人の皆さんは警戒する必要があります」

   しかし、パリ17区のGeoffroy Boulard区長は16日、「現段階では、反アジア的な性格を持っていることや、攻撃に酸が含まれていることは確認されていません」とフランス語でツイート(Google翻訳などを参考に編集部訳、以下同)し、地元警察が捜査を続けていることを明らかにした。また、「被害者は軽傷であるため訴えることを望んでいません」とも言及した。

   このツイートに対し、日本から反発の声も上がって、事件の解明を求める声が区長あてにフランス語などで相次ぐ事態になっている。

   その中には、アジア人へのヘイトクライムではないかとの指摘も出た。区長は、これに反応して、「区内では、(警察への)訴えはなく、ヘイトクライムも確認されていません。こうしたことには慎重に対応し、もちろん警戒も続けていきます」と説明している。

   アシッドアタックは、南アジアや中東を中心に女性などをターゲットにしたケースが多く起きており、イギリスでも2017年ごろまで頻発したと報じられている。欧米主要メディアによると、犯行の動機としては、犯罪被害への恨みや強盗団同士の抗争など様々なようだ。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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