ペットロスの人に立ち直ってもらおうと、タレントのGACKTさん(47)が5か月育てた子犬をサプライズでプレゼントしたところ、愛犬家らからクレームが相次ぐ騒ぎになっている。
法的には問題がないようだが、育ての親から離れる犬がかわいそうだというのだ。これに対し、GACKTさんは、ライブ動画を配信して里子に出した事情を説明している。
「ペットロスになった知人の妻を救おうとサプライズで企画した」
「今日はですねえ」。GACKTさんが車の中で、大阪に来た説明を始めると、上着の中に入れた子犬がGACKTさんの顔をペロペロとなめ出す。かなりなついている様子だ。
この8分強の動画「GACKTが愛犬を里子に出しました」は、2021年2月10日にGACKTさんのユーチューブ公式チャンネルに投稿された。
動画では、GACKTさんの親しい知人の家で14年飼っていた犬が20年5月に亡くなり、知人の妻がペットロスになっていると聞いて、GACKTさんが飼っている子犬をサプライズで贈るという企画だと説明された。妻は、落ち込みが酷くて自分で新たに犬を買うことができないため、GACKTさんから無理やり犬をもらう形にしたという。
GACKTさんが知人宅に入って、妻に子犬をプレゼントすると、妻は、「はい」と受け取って泣き出していた。しかし、GACKTさんは、名残惜しそうに子犬をなで、車の中でも「寂しいね」とぽつりと言う。「お別れのとき、泣きそうになってしまったな」と振り返っていた。
この動画を撮ったのは、冬の緊急事態宣言の前だという。30万回以上も再生されているが、高評価が約6900件に対して低評価が2万件以上とかなり多く、愛犬家らから疑問や批判が次々に書き込まれている。
GACKTさん「この人たちを救いたいという気持ちだった」
そのコメントなどでは、「犬の気持ちを考えるとかわいそう」「責任持って最後まで育てるのが筋だ」「酷いな 飼うなよ」といった書き込みが相次ぎ、炎上状態になっている。ツイッター上でも、これが美談になるのはおかしいと、著名人からも指摘が出ていた。
もっとも、GACKTさんの行為に理解を示す声も多く、「別にいいんじゃないの 捨てるわけじゃないんだし」「個人間の問題だし要はキチンと世話すればいい」「正直何が問題なのか分からん」といった感想もあった。
飼っている犬を譲り渡したりすると、犬に何か影響が出るのだろうか。
環境省の動物愛護管理室は2月15日、「それは、飼い主との関係性によりますので、一概に申し上げるのは難しいですね」とJ-CASTニュースの取材に答えた。
動物愛護管理法の第7条4項では、動物の所有者は、できる限り終生飼養に努めなければならないと定められている。これについて、同室では、「捨てたというなら問題ですが、愛情を持ってきちんと面倒を見る人に譲るのならいいです」と説明した。
大阪府の動物愛護管理センターは同日、「状況を把握できていませんので、コメントすることはできないです」と取材に話した。
ネット上で騒ぎになったことで、GACKTさんは14日、動画配信サイト「17(イチナナ)LIVE」上で事情を説明した。
それによると、GACKTさんが子犬を買った直後に知人の話を聞いたといい、知人に提案したうえで、子犬を連れて行くまでGACKTさんがしつけをすることになったという。「僕のエゴでこの人たちを救いたいという気持ちだった」と説明し、保健所の犬を紹介してもらえばいいといった意見に対しては、「その人のエゴと僕のエゴとは違う。みんなそれぞれのエゴでやっているので、それに対してどうというのはない」と反論していた。GACKTさんは同日、別の動画サイト「ニコニコ生放送」でも同様な説明をしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)