アパレル界も苦戦強いられる
もう1社は、2020年8月に続いてリストラ策を発表したアパレル大手のワールドだ。百貨店を中心に展開する「スーナウーナ」「ジェット」など7ブランドからの撤退とともに、店舗閉鎖と希望退職募集を発表した。前回に発表した分と合わせると廃止ブランドは12に達し、店舗も全体の3分の1に当たる約700店を2年間で閉めることになる。
アパレルではワールドに限らず、オンワードホールディングスや三陽商会も苦戦を強いられ、老舗のレナウンは経営破綻した。その要因は、既に時代遅れだったビジネスモデルがコロナ禍で一気に崩壊寸前といえる状況に追い込まれたからだ。流行を予想して事前に商品を製造し、売れ残りをバーゲンでさばくスタイルを長年続けてきたアパレル大手は、百貨店の集客力低下やユニクロなどの台頭によって従来からジリ貧の様相を呈していたが、コロナ禍で大量の売れ残りが発生して虫の息になった。
コロナ禍で一変した消費行動によって恩恵を受けている企業がある一方、このように厳しい立場に追い込まれて身を切る改革に踏み切る企業も少なくない。ワクチン接種の進展も含めた感染拡大の動向をにらみながら、企業経営者は引き続き厳しい舵取りを迫られる。