楽曲のリズムのみを示した譜面「リズム譜」。音符や休符で音の長さを示したもので、読むのに苦戦した人も少なくないだろう。しかしそれを語呂合わせで分かりやすく解説した早見表が、インターネット上で度々大きな注目を浴びている。
特徴的なリズム譜はなぜ生まれたのか。J-CASTニュースは2021年2月5日、この早見表の考案者である侘美秀俊(たくみひでとし/@hidetakumi)さんに取材した。
「ニヤっとするストーリーやワードに関連を持たせたら...」
「ラーメン ステーキ ケーキ カレー カロリー やっぱり 食べ過ぎ ストップ」
作曲家として活躍する侘美さんは、こんな音符の読み方を考案した。音符と文字がマッチしており、この単語を読み上げるだけでリズムをとることができるのだ。
侘美さんによれば、リズムと言葉をあてはめる覚え方は以前からあり、特段新しいものではないという。しかし出版社からの依頼で原稿を執筆する際に、こんな考えがよぎった。
「単にリズムの説明にコトバを当てはめるだけではなく、なにか、ニヤっとするストーリーやワードに関連を持たせたらユニークだろうと、個人的な遊び心で、そのときに思いついたものです」
そうして出来上がった「初心者にやさしいリズム譜早見表」は、2016年12月に発売された「できる ゼロからはじめる楽譜&リズムの読み方」(リットーミュージック)の裏表紙に掲載されている。ツイッター上ではこの裏表紙を撮影した画像が度々出回っており、直近では2月3日にツイートされたものが6000リツイート、2万いいねを超えた。過去には、17年11月に投稿されたものが21年2月8日現在、11万リツイート、28万「いいね」を超えている。
こうしたツイッターでの人気について侘美さんは、こう述べる。
「当初、全くの想定外の反応で、驚くばかりというのが正直なところです。ちょっとばかり強引な当てはめかた(『ケーーキ』や『カレーー』)もあって、散々な苦情などもありましたが、【みんなが大好きな食べもので、くくってオチをつける】というコトバ遊び優先なので、多めにみてほしいです。
その後、たびたび定期的にバズるので、本当にtwitterの伸び代って凄いですね」
画像を拡散する際には「出典元や引用元」を添えて
インターネット上で大きな注目を集めたこの早見表。しかし本のタイトルや作者情報が抜け落ちたまま画像が広まることもあり、話題となったツイートのリプライには「この本のタイトルを教えていただけますか」という声も多数ある。
「著者や講師の立場としては、どんどんと興味深く取り上げてもらえればと思います。
一方、音楽家の端くれの立場としては、出版や権利問題に触れないわけにはいけませんので例えば、出典元や引用元を添えてツイートしていただけたら、おそらく関係者みんなハッピーです」
侘美さんは本を紹介するツイートを見かけるとリツイートやリプライを送ることもあり、紹介してくれた人々に感謝している。
侘美さんは取材の最後に、自著からの言葉を取り上げなら読者に向けてこう述べた。
「こういう機会いただいたので一言。多くの舞台、映像、映画、音楽に携わっていらっしゃるアーティスト、スタッフのみなさま、本当に今は耐える時期です。これも自著からの引用ですが、『コロナ』とは音楽用語の『フェルマータ』を意味します。そして、語源である『フェルマーレ』は『止める』という意と『安定させる』という意味があります。 今もなお世情は、長い長い『フェルマータ』の真っ最中ではありますが、きっとまた次の新しいフレーズが再開されることを、みなさんと一緒に信じたいと思います」
(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)
でもって、ほんとうは、続編のこっちをバズらせたいのだが、ちょっとマニアックすぎて、ダメっぽい??
— 侘美秀俊 Hidetoshi Takumi ??【H-t studio】 (@hidetakumi) February 5, 2021
旬なら「うっせぇわ」のサビがオクターブ(完全8度)上行↑って、覚えましょ??
できる ゼロからはじめる楽典 超入門 (できるシリーズ)https://t.co/OHmtt7Jdta pic.twitter.com/qW5aoWZGwA