若い女性に漫画を通じて健康問題への自覚を持ってもらおうと、東京都がウェブ企画「TOKYO #女子けんこう部」を始めた。
ネット上では好意的な声も多いなか、「健康」を平仮名で表記したネーミングなどに対しては、「バカにしてんのか」といった意見も一部で出ている。なぜこうしたネーミングにしたのかなど、都に企画の意図を取材した。
「バカにしてんのか」「『女性は無知』を前提にするな」の声も
「女性特有のからだのこと。『知ってはおきたいけれど、何だか難しそう...』そんなあなたのためのWebサイト」。東京都の福祉保健局は、女子けんこう部についてツイッターでこうPRしている。
サイトでは、子宮頸がん、乳がん、お酒、食生活の4つのテーマで、専門家の監修の下、検診などの大切さについて漫画を使って説いた。2020 年に大阪・毎日放送でドラマ化もされた「ピーナッツバターサンドウィッチ」などで知られるミツコさんが漫画を手がけ、20~31歳までの4姉妹が健康トークを繰り広げる。
女子けんこう部のサイトは、2021年2月5日に開設され、小池百合子都知事も同日、「若い女性の間で人気の漫画家で、ミツコさんの漫画を活用しまして、読みやすく、また、分かりやすい形で、漫画で気軽に学んで」などと会見で利用を呼びかけていた。
福祉保健局がツイッターで8日に再度PRしたところ、11日ごろになって、サイト上の表現にクレームが付けられるようになった。「けんこう部」「からだ」と平仮名にしたり、「何だか難しそう...」と書いたりしたことに対し、「小学生向けかと思った」「バカにしてんのか」「『女性は無知』を前提にするな」といった声が相次いだのだ。また、「いかにも男性主体の職場で作られた女性向けの企画」「むしろ、男性に向けて啓蒙して」「じゃあ、男子けんこう部も作ってくださーい」などの指摘も出ていた。
「平仮名の方が目立つ」「特別な意図はありません」と説明
もっとも、女子けんこう部について、好意的に受け止める声も多い。「馬鹿にしてる印象は受けなかった」「これの何処が女性軽視に繋がるの?」「女子健康部だと漢字が並んでしまう」「これ読み易くていいと思う」などと企画を擁護する書き込みが見られた。
平仮名を使うなどしたわけについて、都の健康推進課長は2月12日、「正直に言いまして、大きな理由はなく、平仮名の方が目立つかなと考えました」とJ-CASTニュースの取材に説明した。
女性をバカにしているといったツイッター上の批判については、こう説明した。
「そんなことはまったくなく、ネット上で言われていることに驚いています。平仮名は、デザインのようなもので、特別な意図はありません」
健康推進課には、女性職員がたくさんいるとして、男性主体の企画であることは否定し、課長自身も女性であることを強調した。
企画の取り下げや表現の修正をすることについては、考えていないとしている。2021年度以降も内容を拡充したいとも明かした。「男子けんこう部」を作る予定は今のところないという。
なお、今回の企画は、「女性の健康週間」と国が定めた3月の第1週に合わせたものだとした。「若い方の中には、健康問題を自分のことではないと考える方がたくさんおられます。女性のヘルスリテラシー向上に向けて、自らの意識づけに役立ててもらい、行動を変えることにつなげたい」とその趣旨を話した。タレントのトリンドル玲奈さん(29)や藤井サチさん(23)が、インフルエンサーとしてインスタグラムで女子けんこう部のPR活動をしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)