自動車情報サイト「carview!(カービュー)」が公開した日産自動車のタイアップ記事をめぐり、多数の読者から危険性を指摘された問題で、同サイトの運営会社は2021年2月10日、「火気を取り扱う際の周囲確認及び焚火が延焼するリスクへの安全配慮が不足」していたと謝罪した。
記事では、落ち葉が積もる森の中でたき火台を設置し、料理を楽しむ様子を伝えていた。
山火事の原因3割「たき火」
記事は1月28日、「新型キックスとキャンプ女子のマイキャンさんと、初めての"冬キャン"にチャレンジしてみた」とのタイトルで公開された。
日産の小型スポーツ用多目的車(SUV)「キックス」の宣伝の一環で、ユーチューバーのマイキャンさん、自動車評論家のまるも亜希子さん、カービューのスタッフの3人が、冬のキャンプを楽しむという内容だ。
企画は、キャンプ場内の落ち葉が大量に積もった一角で行われた。"キャンプ女子"を名乗るマイキャンさんの指導のもと、薪割り、火起こし、アヒージョの調理に挑戦し、キャンプの模様を文章と動画で紹介した。
しかし、記事が公開されると、SNS上では「落ち葉の上で焚き火は考えられない」「山火事になる」「なんで危険性に気づかなかったんだろう」「安易に真似する人が出てきたら大変」との指摘が相次ぐ事態になる。
林野庁の公式サイトによれば、山火事の約7割が1月~5月に集中する。主な理由として「冬は森林内に落ち葉が積もって燃えやすい状態になっていることや、風が強いこと、特に太平洋側は乾燥した状態になるといった自然条件が重なること」と説明している。
原因別出火件数(14年~18年の平均)は「たき火」が375件(29.9%)と「その他」を除いて最多だった。
マイキャンさん「一から勉強し直す」
記事は10日までに削除され、「カービュー」(東京都千代田区)は、「火の取り扱いに対する配慮に欠けた、不適切な画像、動画撮影及びそれらを含む記事を掲載したことについて深くお詫び申し上げます」と公式サイト上で謝罪した。
具体的な問題点に「火気を取り扱う際の周囲確認及び焚火が延焼するリスクへの安全配慮が不足」していた点を挙げ、「今後このような事態が起きることがないよう、皆様に快適にご利用いただけるサービス作り及び情報発信に誠心誠意取り組んでまいります」としている。
キャンプを指導したマイキャンさんも10日、
「キャンプ経験者として呼ばれた身でありながら、落ち葉が沢山ある中での焚き火の危険性を知っていたにも関わらず、キャンプ場であった事、沢山のスタッフがいたことに甘んじてしまい、しっかりと注意喚起を撮影隊にお伝えすることが出来ず、また落ち葉の撤去もままならないまま撮影に至ってしまいました」
とのコメントを発表し、
「今後の活動は一時休止し、キャンプについて一から勉強し直し、学んだマナーやルールを啓蒙していける様、誠心誠意取り組んでいく所存です」
と誓った。