高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 
JAL・ANA巨額赤字でも「統合」のあり得なさ 異なる企業文化、2社許容できる市場規模

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   JAL(日本航空)とANA(全日本空輸)が、過去最大の経営苦境に陥っている。新型コロナウイルスの影響をもろに受けているのだ。

   2020年度について、JALとANAのそれぞれの国際線旅客数は前年比▲96.9%、▲95.9%、国内線旅客数も前年比▲66.7%、▲71.5%と悲惨な状況だ。その結果、それぞれの純損益は、▲3000億円、▲5100億円と過去最大の赤字になると予想されている。

  • 統合話まででたJALとANA
    統合話まででたJALとANA
  • 統合話まででたJALとANA

経営論から見れば統合はあり得ない

   こうした状況で、両社は、ホテルや家電量販店・スーパーのほか地方自治体・神社へ社員を出向させ、その人件費を一時的に出向先が負担し、事実上支援を受けている。

   JALとANAの窮状から、2010年に破綻したJALへの公的支援から連想し、両社が倒産する場合、再度公的資金の注入や両社の統合話まででている。この統合話の裏には、韓国では2社統合がなされていること、欧州でも寡占化が見られていることから、日本の航空会社も国際競争力強化を図る必要があるともいわれている。

   筆者は、ただちに両社が倒産という最悪の事態にはならないと思っている。というのは、2019年度のバランスシートをみると、純資産でJALは1兆2000億円程度うち利益剰余金8000億円程度、ANAは1兆1000億円程度うち利益剰余金5500億円程度なので、まだ余裕があるからだ。

   経営論の立場から見れば、JALとANAの統合はあり得ない。JALはもともと政府主導の半官半民会社としてスタートし、1987年に完全民営化した。一方、ANAは、民間会社としてスタートし、JALを追い越すまでになった。

   両社は出自が水と油ほど違う会社であり、企業文化がまったく異なるので、経営統合はうまく行かないといわれている。

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