東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)が強烈な逆風にさらされている。日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議会で女性蔑視と受け取れる発言をしたことで批判が集まっている。
森会長の言動に対してSNS上では「辞任」を求める声も上がっているが、この問題を「現場」の関係者はどのように感じているのだろうか。J-CASTニュース編集部は、大会組織委員会の関係者に話を聞いた。
為末氏「理事会での森会長の処遇の検討を求めます」
森会長は自身の発言を巡り2021年2月4日に記者会見を開き、今回の「女性」に対する発言について謝罪・撤回した。会見のなかで森会長は自身の辞任に関して否定し、会長職を全うする姿勢を見せた。その一方で質疑応答では、記者の質問に対していらだつような発言、態度がみられ、このような対応がさらに批判を強めるものになった。
森会長の「女性」発言への批判の声が高まるなか、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会は7日に公式サイトで「森会長の発言はオリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切なものであり、会長自身も発言を撤回し、深くお詫びと反省の意を表明致しました」と声明を発表し、森会長の発言を「不適切なもの」であると認めた。
スポーツ界では現役アスリートをはじめ五輪の出場経験を持つ元アスリートから次々と声が上がっている。男子陸上で3大会連続五輪出場を果たした為末大氏(42)は2月8日に自身のブログを更新し、森会長の発言について言及。「私はいかなる性差別にも反対します。そして、理事会での森会長の処遇の検討を求めます」とつづっている。
「会見での記者の質問も森会長には響いてない...」
また、スポーツ紙などの報道によると、大会組織委員会は8日、森会長の発言後の5日間で、会場運営に関わる大会ボランティア約390人が辞退したことを発表。聖火ランナーの2人も辞退を希望したという。
東京大会のボランティアは約8万人を予定しており、今回のボランティア辞退が大会運営に大きな影響を与えることはなさそうだが、スポンサー企業への対応を含めて大会組織委員会が抱える問題は山積している。
森会長の発言をめぐる現場の受け止めについて、大会組織委員会の関係者は次のように話す。
「森会長には自身の発言に対する責任を取ってほしいと思っている人間は少なくないが、それほど期待していないのが現状。記者会見で森会長のスタンスは変わらないと感じましたし、この状況で辞任していただいても混乱を招くだけですから。ご自身も辞任する考えはないようですし、結局のところ何も変わらないと思います。我々の思いは届かないでしょう」(大会組織委員会関係者)
また、今回の一連の問題を取材する在京のメディア関係者は、「森会長が辞任するとは思えません。記者会見での記者の質問も森会長には響いてないと思います。世界中のメディアからこれだけ批判されても動じないのですからよほどのことがない限りは続投だと思います。それこそIOCが直接、森会長に発言の責任を問うようなことがあれば別でしょうが、それは現実的でないでしょう」と語った。